こんにちは!植田涼介です。

街を歩いているとふと足元に広がっている水たまり。普段は何気なく避けて通り過ぎてしまうだけの小さな世界ですが、雨上がりの街角でふと覗き込んでみると、そこには青空や街並みが上下逆に映し出されています。見慣れた景色のはずなのに、どこか遠くの知らない街へとつながっているような不思議な感覚を覚えたことはないでしょうか。

日々の仕事や生活に追われていると、私たちの視野はどうしても狭くなりがちです。自分の目の前にある現実だけが世界のすべてのように思えて、一度立ち止まってしまうと、もうどこへも進めないような気持ちになってしまうことがあります。しかし、それは足元にある新しい視点にまだ気づいていないだけなのかもしれません。

以前、ある相談者の方と話していたときのことです。長年勤めた部署からの異動をきっかけに、自分のこれまで積み重ねてきた経験がすべて無駄になってしまったのではないかと深く落ち込んでいらっしゃいました。新しい環境になじめず、自分の居場所を見失ってしまったとおっしゃる姿は、まるで霧の中をひとり歩いているかのようでした。

そこで私は、直接的な仕事のアドバイスをするのではなく、その方がこれまでの道のりで大切にしてきた想いや、一見すると仕事とは関係のないような趣味や好きだったことについてじっくりとお話を伺いました。会話を進めていくうちに、その方の表情が少しずつやわらいでいくのがわかりました。

実は、その方が趣味で続けていた日曜大工の経験や、家族のために作っていた料理の手際の中に、周りの人を思いやり、物事を段取り良く進めるという素晴らしい才能が隠されていたのです。ご本人はそれを単なる趣味だと思い込み、自分の強みだとは全く考えていませんでした。

水たまりの中に映る景色のように、視点を少し変えてみるだけで、自分が持っている魅力や可能性の形はがらりと変わります。それまで自分を縛り付けていた思い込みというフィルターを外したとき、そこには今まで見たこともなかった新しい自分の姿が広がっているのです。

人生の道に迷ったとき、必要なのは無理に遠くへ走っていくことではありません。まずは足元をじっと見つめ直し、自分の中にある多様な側面に気づくことです。自分自身を多角的に見つめるきっかけを掴むことができれば、次の一歩を踏み出すための力は、自然と湧き上がってくるのではないでしょうか。