地学とかだと、『鍵層』(key bed)という言葉があります。
 たとえば、火山灰層とか津波痕とかのように、場所が違っても同じ時代にできた地層がある場合に、それらを結びつけることで地層の繋がりを考察するヒントになるものです。

 青少年条例における有害図書に指定においても、いろいろ調べると、同じ本でも、
「有害図書として指定した」 都道府県と、
「購入したものの、有害図書の指定を見送った」 都道府県とで、処分が分かれることがあります。

そのような本を見れば、「有害図書に該当すると思う」ラインはどの辺にあるのかを予想するヒントになるのではないかと思います。

いわば、『鍵本』(key book)みたいな感じです。

自分が見つけたものをいくつか挙げてみます。

 なお、「有害指定を見送った」本については、資料等によって、「購入等をしたけれども指定をしなかった」本であると確認しています。

 「(部)」は、部局内審査によって指定(or審議会への諮問)を見送ったもの、「(審)」は、青少年健全育成審議会等の審査で指定を見送ったものです。


①COMIC すもも vol.2 
   (双葉社)  参考リンク

   ○有害指定した  ・・・宮城県
 
   ●有害指定を見送った ・・・栃木県(部)

「COMICすもも」は、「いちご」に対抗して「すもも」らしく(?)、発刊当時はエロ度が高かったようです。最近のをざっと見ると、だいぶ普通になってしまったようですが。

 ちなみにこの号は、「アキバBlog」では、こんな感じ で紹介され、当時、「こんな過激なのがあるから(東京都で)規制されてフンダララ」みたいな議論の材料になったてたような記憶があります。
 個人的に現物を見ましたが、たしかにこの記事のサムネイルのような過激なエロネタはありましたが、逆を言えば過激な部分はサムネイルの部分以外にはあまり見当たらず、全体で見ると、アキバBlogの記事を見て受ける印象ほど過激でない感じがします。

 栃木県で指定を見送ったソースは↓です。

・-栃木県 すもも
 「すもも」は半々で割れてますが、世間様の感覚としては、これぐらいの性描写で悩みはじめるのかなと思います。
 なので、成人向けか否かを迷ったら、これを手元に置いて、これより過激か穏やかかを、指標にしてみたらどうかなとも思います。

 

②ふたりでできるもん~オトコのコのための相互アナニー入門~
   あぶひゃく (著)   オークス (出版)

 ○有害指定した ・・・岩手県・栃木県

 ●有害指定を見送った ・・・群馬県(審)

 一部で話題となった、「ふたりでできるもん」ですが、複数県で指定されています。
 栃木県での部局内審査の結果は、上の画像に載ってます。
 
 栃木県では厳しい結果でしたが、意外なことに群馬県では青少年健全育成審議会に諮問されながら「指定非該当」として生還するという、奇跡が起こっています。

 ちなみに群馬県のソースは↓これ。

・-gunma futaride

ちなみに群馬県の青少年健全育成審議会の有害指定の慎重ぶりは全国的にもかなり異彩を放ってまして、これを見る限りでも諮問された本のうち半数を指定非該当にしてるのがわかります。

【追記】タイトルを誤って記載していましたので、修正をしました。



③あきそら 1~6巻
     糸杉 柾宏 (著)  秋田書店

 ○有害指定した ・・・長崎県

 ●有害指定を見送った ・・・東京都(部・※1) 【包括指定参考王】神奈川県(部・※2) 

 ※1 平成22年改正で追加された新基準では該当する可能性があります。
    特に、1巻と3巻は新基準に該当することを実質的に明言しているようです。
 ※2 第6巻についての、包括指定基準に該当するか否かの判断です。(参考)

 東京都は、「買ったけど指定しなかった本」がなぜか非開示という意味不明な処分をしているのですが、各種情報により、これを問題視しているので、東京都を載せてみました。

 東京都が「著しく性的感情を刺激するとはいえない」として既存の基準の適用を見送ったあきそらが長崎県で指定されていますが、長崎県は法文が同じ文言であるにもかかわらず指定しています。じゃあ東京都も基準に該当するか否か、審議会に諮問してみればよかったじゃんと思ったりもするのですが、それは別の話。

 あと、神奈川県は、包括指定の例示のために第6巻を購入したものの、「包括指定には該当しない」として公表を見送っています。(神奈川県の包括指定の基準は性描写のページ数が2割以上or20ページ以上です)



④脳にくる危ない画像
    コアマガジン

 ○有害指定した ・・・岩手県

 ●有害指定を見送った ・・・栃木県(部)

 具体的には、こんな本 です。
 ネットをあちこち見てる人にとっては、見慣れた画像が多いかなと思います。


 
⑤チャンプロード 平成22年 8月号
    笠倉出版社

 ○有害指定した ・・・静岡県

 ●有害指定を見送った ・・・長崎県(審・※3)

 ※3 審議会への諮問にあたって、「事務局では指定にあたらないと考えるが、それでよいか確認して欲しい」旨の説明とともに諮問しています。

 チャンプロードはいわゆる暴走族雑誌です。
 有害指定された号は、具体的にはこんな表紙 です。

 「ひぐらしのなく頃に」は有害指定が必要と思うのに、「チャンプロード」は有害指定は必要ないと思う、長崎県の価値観は、正直よくわかりません。