◆15番(斉藤達也君) では、次に前期産業水道委員会では、令和元年10月に上田市上下水道事業協同組合と懇談会を実施し、その内容を受けて官公需適格組合の資格を持つ同協同組合に、災害など緊急時の対応や地元企業の育成及び地域内経済循環等の観点から、一部水道事業の包括委託を提案してきました。その後、上下水道局で検討を重ねていただいた結果、今年度から上田市上下水道事業協同組合に量水器取替え業務が包括委託されています。市民のライフラインを支える水道事業における民間委託は、慎重に検討すべき点もありますが、今回の民間委託につきましては災害など緊急時の対応や地元企業の育成及び地域内経済循環等の観点に加え、上田市水道ビジョンに掲げる業務体制の強化と効率化にも合致しており、民間の力を市政に生かした理想的なPPP、公民連携の形であると思います。

 そこで伺います。1点目として、上下水道事業会計の民間企業への委託金額に関する直近の推移と割合はどうか。また、民間企業への委託のうち、市内企業が占める割合はどうか。

 2点目として、災害など緊急時の対応や市内企業の育成、地域内経済循環等の観点から、上田市上下水道事業協同組合への包括委託の効果をどのように評価しているか。また、今後はどのような施策に生かしていくかお尋ねし、第3問といたします。

 

◎上下水道局長(三浦哲夫君) 上下水道事業3会計の民間企業への委託などにつきまして何点かご質問いただきました。順次答弁させていただきます。

 まず、上下水道事業3会計が民間企業に委託している主な業務でございますが、料金に係る検針、徴収、施設の維持管理、工事に係る設計などがございます。決算における直近3か年の委託料の推移でございますが、平成30年度は9億9,000万円余、令和元年度は10億3,000万円余、令和2年度は9億3,000万円余で、10億円前後で推移しております。

 次に、民間企業への委託金額のうち市内企業が占める割合でございますが、平成30年度は22%、令和元年度は27%、令和2年度は25%で、おおむね20%台の半ばで推移しております。市内の民間企業に委託している業務内容としましては、上水道では施設の日常点検、宿日直、水質検査など施設の維持管理に関するものが中心になっております。また、下水道では、農業集落排水施設の運転管理や公共下水道、農業集落排水のマンホールポンプの維持管理などが中心になっております。

 一方、市外の民間企業に委託している業務内容としましては、各種電算システムの保守、上下水道料金の検針、徴収、公共下水道の終末処理場の運転管理、上下水道の建設改良事業の設計業務などとなっております。特に公共下水道における市内民間企業への委託割合が90%前後で推移しておりまして、これは専門性の高い終末処理場7か所の運転管理業務の割合が高くなっております。

 次に、上田市上下水道事業協同組合への包括委託の効果をどのように評価しているかというご質問でございます。令和3年度から緊急時対応及び量水器取替え業務委託として、上田市指定給水装置工事事業者30者が組合員であり、中小企業庁から官公需適格組合として認定されている上田市上下水道事業協同組合へ包括委託しております。

 委託内容は、水道故障当番として、公道における漏水等の緊急修理や各家庭での水道トラブルに年間を通じて迅速に対応いただいております。また、計量法に基づく8年に1度の量水器約9,000個の取替え業務につきましては、定められた期間内に円滑かつ適正な業務遂行が求められ、必要に応じて故障した止水栓等の修繕作業も生じることから、経験の浅い若手作業員の技術力の向上へとつながり、市内企業の技術の継承と育成が図られております。包括委託の初年度の期間中ではありますが、年間を通じての委託業務であることから、業務の平準化が図られ、かつ新たな雇用に結びつくなど徐々にではありますが、包括委託の効果が表れていると感じております。

 また、今後の施策につきましても、上田市水道ビジョン、上田市下水道ビジョンや上田市上下水道事業経営戦略におきまして、業務体制の強化と効率化、民間活力の導入の検討を掲げております。安全、安心で持続可能な上下水道事業を経営していく上では、市内企業の育成、さらには地域内経済の循環の観点から、現在委託している業務につきましても市内企業の割合を高める必要があると考えております。具体的には、公共下水道施設における133か所のマンホールポンプの運転維持管理業務のうち、今年度は89か所を市内業者に受託いただいておりますが、令和4年度は36か所増の計125か所、市内全体の約94%ということになりますが、市内業者に委託すべく既に準備に入っております。

 上下水道事業は、市民に欠くことのできないライフラインとして、課題である技術の継承による人材育成と業務の効率化に向けては、官民連携による民間活力の導入がさらに必要になってまいります。そのため、3月には令和元年度以来となる上田市上下水道事業協同組合との懇談会を予定しており、本年度の経過を踏まえるとともに、今後の緊急時の対応や市内業者の育成など、上下水道事業全般について意見交換を行い、今後の施策に反映してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◆15番(斉藤達也君) ご答弁いただきました。今現在民間企業への委託のうち、市内企業が占める割合というのは20%台ではあるのですが、もう既に実際具体的にマンホールポンプに関して委託すべく準備を進めていただいていると。今後も水道ビジョンにのっとって、そのような方向性で進めていくということが確認できました。

 今回は上下水道局の事業に関してのお話なのですが、市内の地元の企業への包括委託というのは別の分野でも、例えば公共施設の維持管理ですとか、公共インフラの予防保全とか、いろんな分野で応用ができるものだと思います。ぜひ一部局の取組にしておくのはもったいないと思いますので、また私のほうからもいろいろ提案していきたいと思います。

 

※写真は先日所管事務調査で訪れた「神の水」つちや水源。