6月議会でチケットQRによる消費喚起キャンペーン(9月1日~予定)の補正予算案が上程されることになりました。

先の3月議会では、市内中小企業への支援および地域内経済循環の観点から、PayPayによる消費喚起キャンペーンとの効果の違いについて質問しました!

 

◆15番(斉藤達也君) 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、医療の最前線の現場で日々ご尽力いただいている皆様に改めて感謝を申し上げます。本日は、コロナ禍か否かにかかわらず、上田市内の企業、要は地元の企業の育成や地域内経済循環等の観点から、経済政策について順次質問させていただきます。

 初めに、市内3商工団体と上田市により、コロナ禍の影響で長期にわたり落ち込む市内中小企業での消費を喚起するため、昨年12月から開始した消費喚起応援事業第3弾がんばろう上田!TicketQR最大20%割引キャンペーンについて伺います。令和2年度に県内自治体に先駆けて実施したPayPayによる消費喚起応援事業は、市民の皆様、そして一部事業者の皆様に大変好評でした。しかし、一方でその消費金額の大半が地元企業ではなく、大手企業に流れてしまったと考えられており、コロナ禍で影響を受けた市内中小企業の支援につながっているかという点では課題が残りました。それに対し、現在行われている消費喚起応援事業第3弾は、支援の対象を市内の中小企業に限定しており、さらに市内IT企業が開発した独自アプリを活用しているという点で、市内中小企業の支援及び育成に効果的であると感じています。

 そこで、消費喚起応援事業第3弾の効果について伺います。TicketQRによる消費喚起応援事業の登録店舗数、チケット取得件数及び消費金額等の状況はどうか、また市内中小企業への支援と地域内経済循環の観点から、PayPayによる消費喚起応援事業と比較した場合の効果はどうかお尋ねし、第1問といたします。

 

◎商工観光部長(大平光博君) 消費喚起応援事業の効果についてご質問いただきました。

 昨年度はPayPayにより実施いたしましたが、本年度は上田市公共交通キャッシュレス化推進プロジェクトのQRコード決済実証実験事業で導入されていた市内IT企業の開発によるTicketQRのシステムを利用し、昨年12月から実施しているところでございます。このTicketQRは、デジタル割引チケットで専用アプリをダウンロード後に、市内参加登録店舗で利用できる1万円分の割引券を受け取り、これを買物等でご利用いただくものでございます。現在までの利用状況につきまして、参加登録店舗数が835件、チケットの取得件数が約6万1,000件となっております。これまでのチケットの利用金額につきましては、現時点で約2億700万円であり、割引率が消費金額の20%であることから、消費喚起効果としまして約10億円になります。

 次に、PayPayによる消費喚起応援事業と比較した場合の効果につきましては、第1弾、第2弾併せたPayPayのポイント還元額の総額が約6億円であり、30%の還元率であったため、約20億円の消費喚起効果がありましたが、そのうち市内中小企業で利用された割合は約4割強であるため、約8億円余が市内中小企業の消費につながったと推計しております。一方、TicketQRにおいては、参加登録店舗は市内中小企業に限定しており、割引額の総額が予算額ベースで3億円、割引率が20%であることから、約15億円の消費喚起につながり、PayPayと比較して約半分の予算で約2倍の経済効果を市内中小企業にもたらす予定であると捉えております。また、店舗側としましても、割引後8割の代金は即現金化できる割合が高いことから、従業員の給与や諸経費の支払い、店舗運営に係る投資等、PayPayよりも資金繰りの面で優位性があります。さらに大手企業は全国的な流通網による商品仕入れ等が多く、売上げからの所得も地域外へ流出する部分が多いのに対して、市内中小企業は市内での取引が多いと思われることから、売上げによる所得や仕入れによる消費など、地域内での経済循環の観点からも有効性が高いと考えております。

 以上でございます。

 

◆15番(斉藤達也君) ご答弁いただきました。やはり数字で説明していただくと、本当にその効果のほどがよく分かります。PayPayの約半分の予算で、効果額としては倍あって、さらに事業者さんにとって資金繰り等の面でもよりいいですし、さらに仕入先、売り先なども考慮した場合に、さらなる地域内で経済が循環している状況になっていると思われるという、そういった答弁でした。

 では、次にTicketQRによる消費喚起応援事業の課題とその対応方針について伺います。PayPayによる消費喚起応援事業のときから市民の皆様からご指摘いただいていたのが、スマートフォンの取扱いに慣れていない方や、そもそもスマートフォンを利用していない方にとっては不公平ではないかといった、そういった声がありました。消費喚起応援事業に参加されている事業者の皆様にその点をお聞きすると、取扱いに慣れていない方についてはアプリのダウンロードを一緒に行ったり、操作方法を確認するなど、丁寧にご対応していただくことで、そのお店での消費につながっている状況がうかがえました。消費喚起応援事業の目的は、あくまでもコロナ禍で影響を受けた市内中小企業の支援ではありますが、消費者視点の課題もクリアできれば、今後再度実施するような場合があっても、より広く市民の皆様に受け入れられるすばらしい施策になると思います。

 そこで伺います。TicketQRによる消費喚起応援事業では、スマートフォンを利用していない方にとっては消費喚起につながっていない等の課題があるが、対応方針はどうかお尋ねし、第2問といたします。

 

◎商工観光部長(大平光博君) スマートフォンを利用していない方の消費喚起につきまして、これまで実施してきたQRコードによる消費喚起応援事業は、事業者の事業継続等に対する支援に重点を置き、感染予防の観点から非接触型で決済手数料や換金に係る事務負担、間接経費が少ないこと、スマートシティ化の推進につながることなど総合的に検討し、導入してまいりました。また、TicketQRの普及促進及び利用方法の住民への説明につきましては、公民館等における説明会や携帯電話販売業者による窓口対応など幅広く行うとともに、多くの登録店舗にサポート店として操作方法等のサポートをしていただくなど、スマートフォンの扱いに慣れていない方にも簡単に利用できるよう、環境づくりに最善を尽くしてきたところであります。

 しかしながら、消費者視点では、議員ご指摘のとおり、スマートフォンをお持ちでない方の利用については課題が残ることから、その課題解決に向けてシステム事業者とも可能な方法を求め、検討を重ねてまいりました。現在のシステムは、店舗側はQRコードを掲示するだけで端末を必要としないところに利便性があるわけですが、端末や通信環境の整備等店舗側に負担を求める方法も含め、様々な検討をしてきたところでございます。今後新たな消費喚起応援事業を実施できるかどうかは、現時点で不明ではありますが、引き続きシステム事業者とも協議を重ねる中で、多くの事業者、消費者が参加でき、双方にとってより利便性の高く、利用しやすい仕組みを構築できるよう検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

 

◆15番(斉藤達也君) ご答弁いただきました。先ほどの1問目で、その効果のほどが、地域内にお金を回すという点では非常に効果的だということも本当によく分かりましたので、また次実施することがあるのであれば、そのときはより多くの消費者の皆さんに受け入れられるものにしていただくよう、改善をお願いしたいと思います。

 

※写真は6月議会で上程されるチケットQRによる消費喚起キャンペーン(9月1日~予定)の補正予算案等を伝える記事

(5月31日付東信ジャーナル)