⒐
⑴
NGK金融の辻本と平山
うどん屋大将・俊彦
俊彦の妻・幸恵
俊彦の母・美由紀
アルバイト・レイ
6名。
辻本の嫁姑仲直り作戦が失敗に終わったところで、
荒木エージェンシーの荒木アキが再び現れる。
アキ「レシピ、売る気になりましたか?」
俊彦「売る気はありません!」
アキ「そんなん言うたらあかんのにー!」
アキ「嘘じゃ!」
アキ「、何がじゃ!」
俊彦「…?」
会話になっているのかなっていないのか、
アキの独特のノリに付いていけない(ふりをする)、俊彦。
⑵
辻本がアキの背後から声を掛ける。
辻本「お前、何してんねん!」
アキも辻本たちの存在に気付く。
アキ「お前らこそ、何もんや?」
辻本「ワシは辻本」
平山「ワシは平山」
辻本「二人合わせて、」
と、辻本・平山同時に
辻本「ナニワのオニ~…」・平山「アベノのドン~…」
声が合わさり、何を言っているのか聞き取れず、
アキ「合わせろよ!」
辻本がアキに対し、
辻本「営業妨害するな!」
アキ「関係ない奴は引っ込んどれ」
辻本「関係、大アリや」
辻本「金を取立てに来てる」
すると、平山がツッコミポーズをしながら、
平山「あんたも妨害してるがな!」
辻本「やかましいわ!」
平山のツッコミ技術が徐々に上がってきているように見える。
⑶
(平山・辻本→←アキの立ち位置で)
アキが辻本たちに対し、
アキ「お前ら、舐めてるみたいやの。お前らからやったるわ」
と、客席から見えないように右手に何かを握っているようだが、
辻本が素気味に笑い出す。
辻本「お前、ドス忘れたやろ。(半笑)」
アキ「…、素手でいったるわ(半笑)」
アキの準備ミスのよう。
辻本「ワシに襲い掛かった勢いで向こう(=下手袖)まで取りに行くんちゃうやろな?」
アキ「そんなことするかい!(半笑)、素手でいったるわ!」
アキが辻本に殴り掛かるが空振りした勢いで下手袖に行き、ドスを持ち戻ってくる。
アキ「はぁ、はぁ…(半笑)」
ここで辻本がアキに対し、
辻本「今日はミスばっかりしやがって…(苦笑)」
辻本「向こう(=観客)に謝れ!(苦笑)」
アキが観客の方を向いて、一歩前に出て、
アキ「今日は本当にすみませんでした」
客席が盛り上がる
すると、辻本がレイに対し、
辻本「そこの兄ちゃん、黄色(=アキ)の恥ずかしい感情、撮ったてくれや」
辻本が平山のもとに行き、使い捨てカメラを受け取り、レイに渡す。
オープニングのハプニングで飛ばしたカメラネタの時間をレイに与える、辻本。
誰かがミスする瞬間を心待ちにしていたのだろう。
アキが手を合わせて謝罪の意思を示す中、
レイ「はい、チーズ、ズー、ズー、ズー、」
レイ「♪ずーっと前から こんな時を 待ーち望んーでた」
アキ「早よ、終われ!」
レイ「♪だから 僕だけに 最高の笑顔を 見ーせておくーれよ」
…と、アドリブにより急遽挟まれたカメラネタで、客席が大きく盛り上がった。
⑷
辻本とアキが改めて対峙する。
が、辻本はニヤニヤしたまま。
アキ「何、笑とんじゃい!(半笑)」
辻本「笑うやろ!(苦笑)」
辻本「ドスを忘れたお前の手が忘れられへん」
辻本「『素手でやる』言うてたのに、」
辻本「こう(=ファイティングポーズ)せんと、こう(=脇腹でドスを持ったフリ)」
アキ「流行りのエアードス、知らんのか?(苦笑)」
辻本が呆れるように、
辻本「エアードス…?(半笑)」
アキ「はぁー!?(半笑)」
アキがドスで辻本に襲い掛かる。
アキのひと振り目に辻本が手首を掴んで後ろに捻り、アキがドスを落とす台本だが、
アキのドスの振り方がでたらめで、三度目の襲撃でやっと合わさる。
辻本「ほんま…、今日は全部グダグダやないか。(半笑)」
⑸
アキがドスを落としたところで、
警察官の松本(松本慎一郎)が勢いよく登場する。
松本「そこまでや!」
俊彦「松本さん、タイミング良すぎません!?」
松本「そこで、ずっと見てました!」
俊彦「なら、早よ出てきてください!」
松本と俊彦は、巡回等で普段から交流がある様子。
アキが傷害容疑等で逮捕・連行されていった。
松本は証拠品のドスを忘れていったようで、
落としたドスを辻本が拾い、テーブルに置く。
⒑ 終
⑴
アキを撃退した辻本に感謝する、俊彦。
俊彦「ありがとうございます」
辻本「借金のためや」
俊彦「それでも、ありがとうございます」
俊彦「200万、明日中に振り込みますので」
辻本が振り込み先の書かれた名刺を渡す。
一見、話は綺麗にまとまりそうだが、全く解決していない問題があり…
⑵
美由紀がイヤミったらしく、
みゆ「あーあ! 幸恵さんの運気が悪いせいで、200万損した!」
幸恵「私の貯金で払います!」
みゆ「当たり前よ!」
幸恵「なによ!」
みゆ「なんや!」
幸恵「なんやーっ!」
二人が取っ組み合いの喧嘩になり掛けたところで、レイが慌てて間に入る。
レイ「二人とも!…」
仲裁するのかと思いきや、
レイ「、幸恵さん、喧嘩終わらせて!」
と、警察が持ち帰り忘れたアキのドスを幸恵に渡す。
(平山・辻本→幸恵→←美由紀、という立ち位置で)
幸恵は刃が下になるようにドスを持ち、腕を振り上げ、美由紀を本気で刺し殺そうとする
辻本「あかんて!」
ナイフを振り上げた幸恵の手首を持つ、辻本。
辻本は幸恵からナイフを力尽くで奪い取るが、
その勢いで、辻本の背後で心配して見ていた平山を切りつけてしまう。
辻本「えっ!? えっ!? えっ!? えっ!?」
俊彦「大丈夫ですか!」
俊彦が平山のもとに駆け寄る。
客席から顔を背け座り込んだ平山が振り返ると
眉間を中心にして斜め方向(/)に大きく切れ、出血した顔が現れる。
辻本「顔、切れてるー!」
幸恵・美由紀「キャーッ!!」
⑶
警官・松本が慌ててやってくる。
松本「女性の悲鳴が聞こえたので、やってきました!」
松本が平山の顔を見て、
松本「顔から血が出てる!」
次にドスを持つ辻本を見て、
松本「殺人未遂の容疑で逮捕する!」
辻本「えっ?」
松本が問答無用に辻本を殴り倒し、羽交い締めにし、そのまま連行していく。
羽交い絞め状態で連行される辻本が平山に対し、焦った様子で、
辻本「平山、何か言うてくれ!」
平山「なんてこった パンナコッタ」
辻本「それワシが言うたやつや!」
すると、座ったままの平山が客席方向に窮屈そうにツッコミポーズをしながら、
平山「あんたのギャグと違うがな!」
辻本がぼそっと、
辻本「…どういうこと??」
平山のツッコミに頭の中が疑問文だらけになる、辻本。
疑問が解決されることなく、警察に連行されていった。
当分眠れない日々が続くだろう。
第一幕 終
(緞帳が下りる)