「ザ・マスター」
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
主演:ホアキン・フェニックス

2013年、大好きな俳優が2人この世を去りました。
1人はロビン・ウィリアムズ。そしてもう1人は、フィリップ・シーモア・ホフマンです。

フィリップ・シーモア・ホフマンは本当に名優だと思う。
どの映画を見ても印象が全部違うし。彼の存在感はそのままで、役に憑依するというか、人を創り上げるというか、そういう人が本当にいるみたいにみせる。なんだろ、手品師みたいな人?
彼の芝居を見てる時、手品を見てるみたいな気持ちになるんです。イリュージョンみたいな。
純粋に「わぁ〜っすごい」ってなる。

この作品で彼は、新興宗教の指導者、マスターを演じています。そんなマスターと出会い、師事するようになる主人公を演じているのがホアキン・フェニックス。
信じたい、でも。とか。信じていたのに、なぜ。とか。人同士の深くて複雑な関係が描かれています。

主演のホアキン・フェニックスの演技が素晴らしいのはもちろんのこと、フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は本当にすごい。
彼が演じるマスターが、人を騙しているのか、自身も本気で信じているのかが、結局のところわからなかった。

観客を惑わす。翻弄する。なんてこと、なかなかできるこっちゃないんだ。しかも役作りで痩せたりとか見た目変えたりとかわざわざしないんだぞ、すごいでしょ(褒めてます、賞賛してます)。

とにかく彼の演技を観るのが大好きでした。彼がもういないのは悲しいけど作品は残る。いつでも彼を観られる。まさにイリュージョンだな、映画って。