もう戻らないと思っていた

苦い思い出の街を行く

ついでだからと

自分に言い聞かせて

 

道の途中で幾度も見かける

自分の心の残像

無視してもまた

横切ってもまた

 

なんとなく選んできた道の

延長線上にいたはずなのに

2回乗り継げば戻れてしまう

あそこはよく行ったラーメン屋

 

とっくにつぶれたビデオ屋

持ちこたえているなカメラ屋

まだまだ威勢のいい八百屋

あっ、あの店は―― うん、まあいいや

 

妙に老いて見える駅舎から

電車に乗り込み息をつく

あいつに出くわさなかったことに

ほっとしてまた少し苦くなる