無機質な廊下を

看護士がせかせかと歩いていく

寝巻き姿の老患者が

おそらく娘と思われる女性に

支えられながら歩いている


命の戦場と例えるには

あまりに整い過ぎていて

その美しさは

生死の残り香を

あらゆる怨念を打ち消していた


エレベーターを出て

笑い声の聞こえる202号室を過ぎ

空咳の漏れる205号室を過ぎ

私は花束を持って

208号室へと向かう