いじめのない学級や学校はありえない。

 

 令和5年(2023)10月4日に、文科省が令和4年度 「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果を公表し、いじめについては世間に驚きと衝撃を与えたと思います。いじめの認知件数は、前年度の615,351件から66,597件増加して、681,948件でした。小・中・高等学校、特別支援学校ともに増加し、小学校は前年度より51,382件増加し、551,944件。中学校は、前年度より13,467件増加の111,404件でした

 

 また、高等学校は横ばいでしたが、小・中における暴力行為の発生件数は前年度より増加し、約95,000件でした。児童生徒1,000人あたりの発生件数は7.5件、小学校では前年度より13,317件増加し、61,455件でした。


 今回の調査結果で、パソコンや携帯電話を使ったいじめがやはり増加していることがわかりました。現在は、小学生でも携帯電話を持っている時代ですから、いじめの形態も変わるのは分かり切ったことでしょうね。特に、LINEやSNSの普及の影響が大きく、以前ニュースで流れている中学生集団リンチや出会い系など、事件まで発展していますし、先生や親の見えないところで「言葉の暴力」といういじめが横行しているようです。

 いじめ発見のきっかけは、「アンケート調査などの学校の取組みにより発見」が約半数、「本人からの訴え」が19.2%、「当該児童生徒(本人)の保護者からの訴え」は11.8%、「学級担任が発見」は9.6%でした。暴力・暴言などの表面的ないじめは、容易に発見できます、所属する学校長や担任教諭の考え方・とらえ方によって、これまた大きく左右されますがね。先生も人間ですから、面倒事を避けたいと思う場合もありますから。

 小・中学校の不登校児童生徒数は、約299,048人で前年度より約54,108人増加。高等学校の不登校生徒数は、60,575人で前年度より約9,600人増加し、中途退学者は約43,000人で前年度より約4,400人増加しましたし、小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は411人で前年度より43人増加。自殺した児童生徒が置かれていた状況として「いじめの問題」があった生徒は昨年度より1人減少の5人でした。

 以上が、今回の調査なんですが、正直これらのデータすべては、氷山の一角でしかないでしょうね。実際のいじめ総数は、最低でも本調査数値の3~4倍はあると思います。残念ながら・・・ね。いじめられている子が学校からのアンケート、ましてや自分から助けを求める、なんてことができるわけないんです。「これ以上、やられたら・・・」、「どうせ大人をあてにしても・・・」この考えと、いじめにあっているシーンが頭によぎるのですから、口が裂けても言えるわけがないんですよ。

 

 ちなみに、10年前に書いたものを見てみると・・・これほどまでの変化があったのかと思います。

2013年12月

 平成24年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果を公表し、いじめについては世間に驚きと衝撃を与えたと思います。いじめの認知件数は、前年度の70,000件から128,000件増加して、198,000件となりました。小・中・高等学校、特別支援学校ともに増加し、小学校は前年度より84,259件増加し、117,383件。中学校は、前年度より32,885件増加の63,634件でした。

 また、小・中・高等学校における暴力行為の発生件数は、前年度とほぼ同数の約56,000件でした。児童生徒1,000人あたりの発生件数は4.1件、中学校・高等学校は前年度より減少しましたが、小学校では前年度より1,121件増加し、8,296件でした。

 

 小・中学校の不登校児童生徒数は、約113,000人で前年度より約4,800人減少。高等学校の不登校生徒数は、58,000人で前年度より約1,300人増加し、中途退学者は約52,000人で前年度より約2,000人減少しましたし、小・中・高等学校から報告のあった自殺した児童生徒数は196人で前年度より6人減少。自殺した児童生徒が置かれていた状況として「いじめの問題」があった生徒は昨年度より2人増加の6人でした。