アンラーニングをして自由になろう! | 我が学習の変遷の記録(旧・宇宙わくわく共創局)

アンラーニングをして自由になろう!



私たちの中には、「固定マインドセット」と「しなやかマインドセット(成長マインドセット)」があると言われていますが、ある調査によると、人口の大半は、この「固定マインドセット」にとらわれているといいます。

すなわち、規制の枠組みや常識や世間体や社会の価値観や社会理想主義の中で、自分や他者に対する固定した見方を持っている人間が、この世の中には大勢いると言うことです。私たちの脳はもともと、新しい情報ではなく、過去の情報や体験に基づいて現在の物事を判断する傾向があり、これが固定マインドセットにはまりやすい原因の1つではないかと思うのです。

しかし、固定マインドセットをもったらずっと一生固定マインドセットのままだと捉えるのも、固定マインドセットだと思います(笑)。実は、私たちのマインドセットを固定マインドセットから成長マインドセットへ変えることもできるのです。

先ほど私たちの脳は、新しい情報よりも過去の情報を使って目の前の現実を理解しようとする傾向があると言うことを述べましたが、実は一方で脳にはそうではない側面もあるようです。これは脳の可塑性と呼ばれるもので、生まれつきだと思っているものであっても、実は脳は変わることができると言うものです。これはエピジェネティクスと言う言葉でも指摘されているようですが、私たちの脳は生き方によって物理的に変化することが可能だと言うことです。

これは、私たちのマインドセットを固定マインドセットから成長マインドセットへシフトする際に大きなよりどころになります。

「マインドセットをシフトできることはわかった。じゃあ実際にどうしたらいい?」

という声が聞こえてきそうです。

まだその言葉に完璧に答えることはできませんが、1つのキーワードはアンラーニングだと思います。すなわち自分がこれまで学んできたことや体験を一旦白紙に戻し、新しい知識や体験などにオープンに対応することだと思います。

これは禅で言うところの、「初心」に当たると思います。すなわち、長くあることに携わると、自分の中で新鮮さがなくなり、過去の枠組みを使って目の前にあることを判断して、新しく体験したり学んだりすることができにくくなったりするわけですが、初心はすべてのことが新鮮であり、それ故、受け入れられるので、成長することができると言うわけです。

しかし、いきなり「初心になれ」と言われても、なかなかなれるものではありません。そのためには、日ごろから、アンラーニングの習慣をつける練習をし続ける必要があるんだと思います。

例えば、最も簡単なのは呼吸です。肺の中にある全ての空気を吐き出すこと、そして新しい空気を思いっきり吸い込むことが、最も簡単なアンラーニングの1つの形であると指摘されました。これを聞いたとき「なるほどな」と思いました。すなわち、肺の中にある空気を全部吐き出すと言う事は、瞬間的に息をしていないわけですから、疑似的に死の状態を体験していると言うわけです。しかし、そうしたゼロの状態から、新しく空気を吸い込むわけなので、これは、まさしく生まれ変わりの大変だと言うこともできます。

また、「人生は短い、誰でも死ぬのだ。だから、これまでのことに執着してウダウダしている時間は無いのだ」と言う認識も、アンラーニングを助ける1つの方法であると聞きました。特に日本人に多い傾向だと思うのですが、自分が本当に望んでいない状況であっても、それを我慢して世間体や人の目や常識を気にして、自分の今ある環境にしがみつこうとする姿勢は、アンラーニングとは逆の姿勢だと思います。そうではなくて、「そんなことにしがみついているうちに、人生は終わってしまうよ。だからほんとに自分の望んでいることをやってみよう」と思うことが重要だと言うわけです。

こうした考え方は、ストア哲学やエッセンシャル思考にも通じるものがあると感じました。セネカの「人生の短さについて」は非常に示唆的な本でした。人生が短いと思っている自分も、それを見守る相手もこの大宇宙の長い時間から比べると、一瞬しか生きられないと言う事実を、明確に伝えてもらった感じがあります。

「エッセンシャル思考」をお読みになった方がいらっしゃると思いますが、やはり、自分の望む人生を生きるためには、望んでいないことに対して「ノー」と言う勇気を持つ必要があると言うことを学びました。

まとめると、実は私たちは呼吸と言う形で日々アンラーニングを体験しているのであり、細胞のレベルでも日々古い細胞と新しい細胞が入れ替わっていると言う意味でアンラーニングをしているのであり、また人生が短いと言う事実を目の当たりにすると、私たちはこれまでの間後にしがみついている時間はなく、アンラーニングをして新しいことに対してオープンになって成長し続けることこそが賢明な生き方なのだと言う事になるでしょうか。

最後に老子の言葉を紹介させてください。アンラーニングのエッセンスを凝縮していると思います。

「知識を得るためには、毎日物事を付け足さなければならない。

知恵をるためには、毎日物事を取り除かなければならない」(老子)

オーストラリアより愛と感謝を込めて。
野中恒宏