私たちの周囲からもたらされている未来からのメッセージに耳を傾けてみよう | 我が学習の変遷の記録(旧・宇宙わくわく共創局)

私たちの周囲からもたらされている未来からのメッセージに耳を傾けてみよう

私は何度も何度もビデオテープが擦り切れるくらい繰り返し繰り返し見たドラマがあります。それは、「家栽の人」です。私は、このビデオをオーストラリアにまで持ってきて、ことあるごとに繰り返し見ているのです。

このドラマは片岡鶴太郎さんが主演で、1993年に放送されていたものなので、だいぶ昔のものです。このドラマは、ある地方都市の家庭裁判所が舞台です。この家庭裁判所に訪れる少年少女達の心の闇の中に深い洞察を示し、彼女彼らの更正を心から願う桑田判事が主人公なのです。この物語がユニークなのは、子供や親の心の闇を読み解くきっかけを、花に求めていると言うことです。

花は私たちに言葉では何も語りかけませんが、多くのメッセージを投げかけています。桑田判事はその花の発している無言のメッセージを使って少年少女の心を読みとき、光を灯していくわけです。

私が特に好きなのが、ある暴走族の男の子を扱った「夢」というエピソードです。最終的に、この男の子は自分と同じく元暴走族で今は医者となっている自分の担当医にインスパイアされて、更正の道を歩み始めていくわけですが、このお医者さんの少年時代の更正に大きな影響与えたのが桑田判事だったのです。

昔、暴走族だった時このお医者さんも、自分のことを必死に救ってくれた医師に感動し、いつしか自分も医者になりたいと思うようになります。そして、少年院の中で必死に勉強を始めるわけですが、日々の少年院生活は辛く、体はヘトヘトで、夜も消灯時間があるのでなかなか思うように勉強ができません。

少年はくじけそうになるわけですが、そこに桑田判事が訪れ、次のようなエピソードを紹介するのです。

昔、天地創造の頃、雪には色がついていませんでした。雪は、自分と風だけに色がついていないと神様に不満をぶつけました。そこで、神様は、「他の花に色を分けてもらいなさい」と言いました。しかし、雪に色を分けてくれる花はありませんでした。しかし、そんな雪に色を与えてくれた花が一つだけあったのです。それがスノードロップと言う白い花だったのです。雪はそのことに大変感謝しました。それからというもの、雪は寒い冬の間、地面の中で眠るスノードロップの球根を地面の上から温めて続けているというわけです。

そして、桑田判事はこういうのです。雪が欲しかったのは本当は色ではなく、自分の存在の証だったんじゃないでしょうか、と。そして、その男の子に「夢を捨てちゃいけないよ」と言うのです。

それからその男の子は猛勉強に猛勉強を重ねて、医者になることができたのです。そして、彼は、自分と同じように暴走族上がりの子供を必死に救おうとし、その結果救われた男の子は、自分の中にあった夢、すなわち自動車整備工になりたいと言う夢を開花させ、それに向け一歩を踏み出すと言う話だったのです。

今、こうしてこのエピソードを思い出して書き出しているだけでも、目頭が熱くなってきます。この桑田判事の深い愛情だけでなく、どんなに外見上悪く見えている子供たちの中にも、未来につながる種を発見し、それを花を開かせようとする姿勢こそが、教師である私たちに求められていることじゃないかと心の深い部分で共感するからです。今考えると、このドラマは私に教師になることを強く熱望させる大きなきっかけになっていたと確信できます。

そして、私たちの日常生活の中には、私たちが知らないだけで、実に多くのメッセージが私たちの証を知らせてくれようとしており、そこから人生の大切なメッセージがもたらされていると言う観点も、1993年の当時の私には新鮮であり、それが、目に見える見えない人生からのメッセージを読み解くきっかけにもなったのだと思います。

このドラマの中では先ほども書いたように、花が少年たちを更生させるきっかけになっていますが、実は、花と言うのは人類をも覚醒させる力を持っていたといわれています。世界的なスピリチャルリーダーである、エックハルト・トール氏によると、原始時代の狩猟に明け暮れていた人間に、進化のきっかけをもたらした三つのきっかけがあったといいます。それは、鳥、宝石、花です。それぞれの持つ素晴らしさが、人間たちに自分の認識や能力を超えた別次元の世界があるということを知らしめてくれたと言うのです。実に深い洞察だと思います。

言い方を変えると、鳥、宝石、花が私たちに未来を示していてくれたのだと思います。今日、鳥、宝石、花はありふれたものであり、そこから何もメッセージを受け取ろうと言う人は少ないかもしれません。しかし、私たちの生活の中には、未来からのメッセージを示すものが他にもたくさんあります。私にとっては、目の前の子供たちが未来からのメッセージを投げかける大切な存在です。

しかし、忙しく騒々しい現代社会において、私たちは、自分の内側ないしは周囲にある未来からのメッセージになかなか耳を傾けづらい状況にあるといえます。その代わりに、無自覚に過去の枠組みをダウンロードし続け、過去の枠組みによって強くコントロールされている人が結構いらっしゃるかもしれません。

一旦過去からのダウンロードを停止して、冷静に今ここで自分の内外から向けられているメッセージに耳を傾けると、あなたの周りにも、スノードロップ的な存在がいることに気がつくのではないでしょうか。

そして、そのスノードロップは、雪に色を与えたような優しい形をしていないかもしれません。むしろあなたに試練を与えてくるような形のスノードロップもあるでしょう。しかし、どのような形であっても、それはあなたがあなたらしく生きるためのきっかけを与えてくれているスノードロップであることに変わりがありません。

そして、そのスノードロップの愛情に気がついたとき、私たちはそのスノードロップという友情に感謝することも可能になってくるわけです。それは、寒い冬の間であっても温め続けてくれた雪のような愛情を、あなたの中に芽生えさせるきっかけにもなるのだと思います。それがあなたにとっての未来を創造する種なのかもしれません。

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(写真の花はスノードロップではありません)

今日も読んでいただいて、ありがとうございました。

オーストラリアより愛と感謝を込めて。
野中恒宏

【参考文献】