宇宙の「万能原理」36号
2023年10月14日
不思議な生き物
不老不死の「ベニクラゲ」
ーー「老化」と「若返り」の同時存在
ベニクラゲは、年老いてくると、幼少期のポリプへ戻り、新たな生命体として成長していきます。それを何度も何度も繰り返し、不老不死を実現している地球上唯一の生き物です。
若返るベニクラゲ 人間ならお年寄りが赤ちゃんに 長辻象平
紀伊半島の先端に近い和歌山県白浜町に今年、民間のクラゲ施設がオープンした。所長は、京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所の元准教授、久保田信さんだ。
3月の定年退官を機に「ベニクラゲ再生生物学体験研究所」を開設した。
クラゲは癒やしの生物として各地の水族館で人気が高い。だが、久保田さんが扱うベニクラゲ類は異色の存在だ。
地球上の約150万種の動物中で「若返り」能力が確認されている、ほぼ唯一の生きものなのだ。
「花に舞うチョウが青虫に戻るのに等しい現象」なのだからすごい。
ベニクラゲの場合は、刺激を受けた成体が岩などに固着して生きるポリプに戻る。
逆方向に年を取ることで、発生の初期段階に若返るのだ。
ほどなく、このポリプの枝に膨らみが生じ、それがクラゲに成長する。
ベニクラゲでは人生のやり直しが可能なのだ。(以上、ネット情報)
全身に幹細胞を持つ「プラナリア」
プラナリアは、川などに生息する体長1~3cmほどの生き物です。
三角形の頭に小さな目が2つ並んでついていて、平べったく細長い体をゆらしながら、水中をスーッと這うように移動する生物です。
プラナリアは、環境によって無性生殖と有性生殖とを切り替えて増殖します。
無性生殖では、プラナリアは自身の体を2つに切って殖えます(自切)。
自切したプラナリアは片方には頭が、もう片方にはしっぽがない状態です。ところが数日経つと、しっぽはもちろん脳や目などの組織を再生し、完全な2匹のプラナリアになります。
プラナリアは未分化な幹細胞が全身に存在しており、体の位置情報に従い幹細胞の遺伝子を目的の組織に分化するよう操作して、失った体を正しく再生することができるのです。
プラナリアの再生は自切だけでなく、人工的に切断した時にも行われます。
プラナリアを2つに切断すると完全な2匹のプラナリアに、3つに切断すると完全な3匹のプラナリアになります。
こうしたプラナリアの再生の謎は、1900年ころから研究されていましたが、再生の決定的な要因はなかなか見つかりませんでした。
100年以上たった現在、幹細胞からどのようにして器官や体を構築していくのか、体の極性や、位置情報を作るメカニズムを解き明かす研究が進められ、ついにプラナリアの再生の仕組みが解明されました。
失われた体の一部や機能不全となった組織や器官を再生し機能を回復する医療、すなわち再生医療の実現の糸口をつかむため、小さなプラナリアの研究は分子レベルと態様を変え、新たな意義を持ちつつあります。(以上、ネット情報)
光合成能力を持つ「ウミウシ」
ーー「動物」と「植物」の同時存在
ウミウシは、動物なのに、植物の持つ「光合成能力」を持っています。
つまり、動物と植物の同時存在です。
以下は、奈良女子大学ホームページ情報です。
奈良女子大学理学部 化学生命環境学科
生物科学コース・環境科学コース兼担 遊佐陽一
うちの植物形態学のS先生は,「なぜ人間は光合成では生きられないか」という話を講義でしています。
彼によると,人間はよく動くために多くのエネルギーが必要だが,その割に表面積が小さすぎて,とても光合成だけでは身が持たないらしい。
では,光合成をするのは本当に植物だけなのでしょうか?
実際には,サンゴ,クラゲ,シャコガイ,ホヤなど多くの動物が光合成でエネルギーを得ています(そう言えば,確かにこれらの動物は動きが少ないですね)。
しかし,これらはすべて,共生させている藻類から栄養をもらっており,自分で光合成している訳ではない。
では,光合成している動物はいないのだろうか?
唯一,嚢舌類(のうぜつるい)という目立たないウミウシの1グループが光合成をしています。
彼らは,藻類の細胞表面に傷を付け,細胞の中身を食べているが,葉緑体はすぐに消化せずに細胞内で維持して,光合成に利用する。餌から葉緑体を「盗む」ので,盗葉緑体現象と呼ばれています。
今,私たちの研究室では,「そもそも,どのような理由で盗葉緑体能が進化したのか?」という大きな謎に取り組んでいます。生物学には未解明の謎がいくらでもあります。その謎解きは楽しいですよ。(以上、奈良女子大学ホームページ)
次回は、「粘菌」と「ミドリムシ」です。