小噺シリーズ(12)
宮崎奕保禅師(107歳没)の小噺
2024年5月20日
宮崎奕保禅師(みやざきえきほ・ぜんじ、1901~2008年)は、道元禅師を開祖とする曹洞宗78代住職で、107歳の天寿を全うされた方です。
8歳の時、父を亡くし、祖父に預けられたが、11歳の時、出家した。
26歳の時、坐禅が嫌になり、それから逃げるために、大学へ入学したが、2年7ヵ月で中退した。
しかし、その後、師匠が亡くなり、その時にはじめて師の偉大さが分かった。それから坐禅に専念するようになった。
69歳の時、肺結核を患い、片肺を摘出。
3年4ヵ月の入院生活を余儀なくされたが、入院期間中も医師の反対を押し切り、坐禅に専念した。
93歳の時、曹洞宗管長に就任し、2008年に、107歳で永眠。
その宮崎奕保禅師が語る。
坐禅とは、今と1つになること。息と1つになること。
姿勢をまっすぐにすること。
大自然の真理を表したものが、坐禅や。
修業とは、当たり前のことを、繰り返し、繰り返し、実行することや。
学んでいくこと。学ぶとは、まねること。
1日学べば、1日成長する。3日学べば、3日成長する。
1年学べば、1年成長する。一生学べば、一生成長する。
自然の如く生きることが大事。
褒められても、褒められんでも、当たり前のことを、当たり前として実行することや。靴を脱いだら、まっすぐに揃(そろ)えることや。
早朝4時半に起床し、40分間の坐禅を組み、昼間は、写経を1~3巻し、夕方は、80分間の坐禅を行う、これが日課や。
104歳ともなれば、しわが増え、ほくろも出てくる。腰も曲がってくる。これもまた真理の姿や。
そういう負け惜しみを言って、笑うよりしかたがないわな。
107歳の生涯で、1万巻の写経を行った。