〔日本復活論〕34号
2021年11月6日
「財政破綻論」は「虚構」である!
今まで、財務省が唱える「財政破綻論」なるものが、全くの「根拠なきもの」であることを考察してきた。
つまり、日本の財政状況はなんの「危機ではない」ということである。
1166兆円の国債残高は、財政破綻を「もたらさない」と言うことだ。
すなわち、財務省トップの言う「財政破綻論」なるものは、「虚構」であり、「虚像」だ、と言うことである。
事実、財務省は、自己のホームページで「日本の自国通貨建て国債は、破綻はあり得ない」と明言しているのだ。
そして、その本音が、「個人向け国債」のPRで、国債は「元本割れしないから、リスク分散に使えます」と表現されている。
つまり、日本の国債は「安全だ」と自ら宣言しているのだ。
にもかかわらず「財政破綻論」なるものを言い続けている。
明らかな「自己矛盾」である。
財務省や政府が「財政破綻論」なるものを言い続ける理由は、「増税」と「緊縮財政」が目的だと言われている。
逆を言えば、そういう「財政破綻論」なるものを持ち出して、100年に1度の緊急事態、非常事態に直面している今の「大危機」に対し、それでも「救済のお金」を「出し渋る」財務省の「姿勢」こそが、「日本沈没」の危機を作り出している、と言う危惧を、私はもっている。
また、「財政破綻論」なるものを今後も、財務省自身が言い続けることこそが、本当の危機を作り出すと思う。
今回の財務省トップの月刊誌に対する「寄稿文」によっても、国債市場はなんら反応を示さず、国債格付けにもなんの影響もなかったようだ。
その理由として、以下のことを述べた。
第1の理由は、1166兆円の国債残高は、「自国通貨建て国債」であり、返済不能はありえず、破綻もありえない、ということである。
ギリシアの「他国」通貨建て国債の場合は、確かに財政破綻はありうる。なぜなら、ギリシアは「ユーロ通貨」を発行する権限は持っていないからだ。
しかし、日本の場合は、自国通貨である「円建て国債」である。すなわち、償還期限が来たら、自国で「通貨を発行」して「償還できる」のだ。
つまり、政府は新規国債を発行して、日銀に通貨を発行させて「償還できる」のだ。
実際上は「借り換え」方式で「更新」されている!
財務省のホームページによると、実際上は、「借り換え」方式で処理されているようだ。「借り換え」とは、償還期限が来た「古い国債」を「新しい国債」へ交換することである。
その結果、期限付き国債が、償還不要の「永久債」と同じ役割を果たしているのだ。
大事なことだから、繰り返すが、日本の「自国通貨建て国債」には、「返済不能」は起こりえない。そもそも「財政破綻」も発生しないのだ。財務省自身がホームページで述べていることだ。
つまり、返済不能や財政破綻は、ギリシアの「他国」通貨建て国債の場合に起こることであり、日本の「自国通貨建て国債」の場合には「当てはまらない」のだ。
「国民1人当たり約900万円の借金」というマスコミの表現は、正しいのか?
マスコミがよく言っている言葉がある。
それは、1166兆円の国債残高に対して、「国民1人当たり約900万円の借金」であり、「将来世代にツケを回している」という言葉だ。
これは本当だろうか。
結論から言うと、これらの言葉は「誤解」であり、「勘違い」に基づく表現である。
マスコミの誤解は、民間銀行が、国債を購入する資金は、預金者の「お金で購入」しているという見方にあるようだ。しかし、この見方は、現実の会計処理とは「全く違う」ことが、日本銀行のホームページで判明している。
民間銀行が国債を購入する資金は、預金者のお金ではなく、「日銀」側が提供したお金である!
すなわち、日本銀行のホームページによると、民間銀行が国債を購入する資金は、預金者のお金ではなく、「日銀」側が提供したお金ということである。
これを「日銀当座預金」という。
要するに、国債の買い手である民間の金融機関は、日本銀行から「日中当座貸越」という「国債買い入れ資金」を「事前に提供」してもらっているのだ。
その日銀が供給した資金(信用創造)を元手にして、民間銀行は、当該国債の買い入れを行なっているのだ。
だから、「国債の残高」が、銀行保有の「預金総額」を超えたら財政破綻するというのも、誤解である。
なぜなら、銀行が国債を購入する場合、銀行預金で購入するわけではなく、また銀行預金が「担保」にもなっていないからだ。
この「からくり」を理解していないことが「マスコミの誤解」を生んでいるようだ。
以上、YouTube動画『銀行は国民の預金で国債を買ってる!ホントか?ウソか?簿記で検証してみた』どんぶり勘定事務所、そして、
YouTube動画の『谷田部会計チャンネル』シリーズを参考にしました。
また、『奇跡の経済教室・基礎知識編』中野剛志、kkベストセラーズ、124頁を参照のこと。
日銀保有の国債に支払った「利子」も、日銀から政府に戻ってくる仕組みがある!
日銀保有の 国債に支払った「利子」も、日銀の最終利益分に比例して、政府に戻ってくる仕組みとなっている。
つまり、日銀の「当期剰余金」から、「法定準備金」+「配当金」を「差し引いた」ものが、最終的に「国庫納付金」として、日銀から政府へ戻されるのだ。
(日本銀行法第53条)
平成30年度は約50%、令和元年度は95%が戻っている。
詳しくは、YouTube/どんぶり勘定事務所『国債金利が国庫納付金として日銀から政府に返金されるという事実を「簿記」で検証してみたら・・・』を参照して下さい。
「負債」があれば、「金融資産」もある !
さらには、国には「負債」(利子の支払い)があれば、「金融資産」(金利の受け取り)もある。
日本の場合、金利が高い「アメリカ国債」を持っており、その高い「金利収入」が入ってくる。
従って、負債と資産の「差し引き」をすると、「純利払い費」(ネット利払い費)は、かなり小さくなる。
だから、金利の上昇があっても、差し引きした「純利払い費」の額は、大きく影響しないのだ。
(三橋TV第878回、『財務省の「日本は国債の利払いがやばい」という主張はウソだった・・・』
次回へ。