〔日本復活論〕8号
2021年5月21日
日本国債の保有者は、すべて「円建て」。
だから問題ない!
ちなみに、2020年9月末の日本国債の保有者の内訳を見てみよう。(出所:日本銀行「資金循環統計」)
中央銀行・・・ 45.1%
銀行等・・・ 16.4%
生損保等・・・ 18.2%
海外(円建て)・・・12.6%
その他 ・・・ 7.7%
合計 ・・・・ 100%
つまり、中央銀行(日本銀行)に対しては、政府の子会社だから返済の必要なし。相殺できるからだ。
銀行等、生損保等、その他の場合は、償還期限が来たら、中央銀行(日本銀行)が貨幣を印刷して返済できる。
実際は、「借り換え」で実施されている。「借り換え」とは、償還期限がきた「古い国債」を「新しい国債」へ「交換」することである。
海外の国債も、日本円建てだから、同じである。
要するに「自国通貨」による「国債」の場合は、その償還期限が来たら、原則「借り換え」でなされている。ということは実際上は、国債は「返還不要」として位置づけられていることと同じだ。(先進国においても、同様に「借り換え」で処理されている。)
だから、円建ての日本国債の場合は、デフォルト、すなわち、債務不履行は「ありえない」ことになる。
マスコミが、「国債残高」のことを「国民の借金」であるかのような報道をすることがあるが、それは誤解だ。勘違いである。
なぜなら、国債は「政府の借金」であり、「国民の借金」ではないからだ。だから、国民将来世代へ「ツケを回している」という表現も「間違い」だ。
すなわち、債務者は「政府」であり、債権者は、日本銀行が45.1%、銀行等、生損保等が34.6%、海外その他が20.3%だ。
また、銀行が国債を購入する際の資金は、銀行が保有する「預金」ではない。日銀からあらかじめ提供された資金である。
この資金を「日銀当座預金」という。日銀が「無から」信用創造した「通貨発行権」のことである。
詳しくは、私のブログ「日本復活論」第34号を参照して下さい。
遂に、欧州において
国債の「帳消し論」が出てきた!
2021年4月3日に、日本経済新聞・朝刊に、次のような記事が掲載された。
【フランスを中心としたユーロ圏で、欧州中央銀行(ECB)や各国中央銀行が保有する国債約3兆ユーロ(約390兆円)の「帳消し」を求める議論が出ている。
新型コロナウイルス対策で、借金が積みあがっているためで、経済学者150人が共同で、「徳政令」を求める意見書を発表した。
この方法が各国政府の財政を健全化する唯一の方法だと言う。
個人や機関投資家が保有する国債の扱いは、これまでと変えない。だから、欧州中央銀行(ECB)や各国中央銀行だけが「帳消し」を了承するだけで問題は解決するという訳だ。
きっかけは、ベストセラー『21世紀の資本』で知られるトマ・ピケテイ氏を中心とする仏独伊スペインなどの経済学者150人が、共同して発表したことである。前例のない提案だけに、債権者側の欧州中央銀行(ECB)や各国中央銀行は、反対している。】
中央銀行は「資産」と「負債」を
「帳消し」出来る!
これについて、証券アナリストの土居雅紹氏が、次のようにブログで書いている。
【具体的には、まず、各国の中央銀行が、大量の紙幣を発行し、資金を創出する。それで自国の国債を買い集める。
その結果、中央銀行には、「資産」としては買い集めた「国債」、「負債」としては自分が発行した「紙幣」が積みあがる。そこで、自分の手元にある「資産」と「負債」を「帳消し」にしてしまえば、だれにも迷惑をかけることなく国家の債務は霧散する】と言うのだ。
(以上、土居雅紹著 「借金帳消しか、世界経済混乱か、欧米で話題の施策『Debt Jubilee(デット・ジュビリー)』とは」ネットブログを参考。)
「だれにも迷惑をかけることなく、国家の債務は霧散する」と言う言葉が、印象的である。
また『日本経済失敗の本質』三橋貴明、小学館によれば、
「中央銀行・日銀が国債を買い取ってしまえば、返済や利払いの必要は消滅する」と記述されている。
次回へ。