神の設計図58号
2018年2月22日
超ひも理論の「すごさ」は、「0の矛盾」を回避したことです!
20世紀に登場した物理学の2大理論である「相対性理論」と「量子力学」は、マクロ世界とミクロ世界を見事に解明してくれました。今まで考察してきたように、それぞれの分野において、完璧と思われる成果を出してきたのです。
しかし、完璧と思われたそれら2大理論を持ってしても、「宇宙の始まり」の瞬間を解き明かすことは、出来なかったのです。
その大きな理由は、電子を「点状の粒子」と想定し、その大きさを0と考えたからです。すなわち、「宇宙の始まり」の瞬間は、あらゆる粒子が衝突するために、お互いの距離が0になります。その時の重力計算をすると、分母が0となり、答えは無限大となってしまうのです。
電卓で1÷0と打ってみて下さい。Eというエラー表示が出るはずです。計算不能と言う意味です。繰返しますが、その理由は電子を「点状の粒子」と想定し、その大きさを0と考えたからです。
この問題を回避する方法が、この世のすべての物質の最小単位を10-33センチという振動する輪ゴム状の「超ひも」であるとするものです。つまり、この「超ひも」には「広がり」があります。広がりがあるから、粒子同士が衝突しても、お互いの距離が0とはならない訳です。従って、分母が0とはならず、無限大が出て来ないのです。大きさ0の「点」から、広がりのある「ひも」への転換が、物理学を大きく発展させたのです。
なぜ「0で割ってはならない」のか?
数学の決まりとして「0で割ってはならない」というルールがあります。なぜなら0で割ってしまうと、不合理な結果を招くからです。体系的に整合性が保てないのです。「おかしなこと」になってしまうのです。少し面倒くさいかもしれませんが、大事なところですので、理解を深めるために、少しお付き合い願いたいと思います。
「逆演算法」とは
-
足し算の5+3=8 である ことの1つの証明は、「逆」の引き算をしてみると分かります。8-3=5となり5+3=8が正しい、ことが分かります。
-
同じく、引き算の10-3=7 の証明は、その逆の足し算の7+3=10 となるから正しい、となります。
-
同じ手法で、掛け算の5×3=15場合は、逆の割り算をして、15÷3=5となるから、正しい訳です。
-
割り算の10÷5=2の場合は、掛け算をして、
2×5=10となり、10÷5=2が、正しいとなる訳です。このように、その計算式が正しいかどうかの判定法の1つは、「逆演算式」が成り立つかどうかで判明します。ところが、0で割ってしまうと、どういうことになるのか。
-
たとえば、6÷0とした場合、∞(無限大)が出てきます。この場合、もし掛け算にすると、∞×0=6 となり、これはあきらかに「おかしい」ことが分かります。
-
また割り算は、「逆数」を「掛ける」ことと同じです。「逆数」とは、掛けて1になる数のことです。
すなわち、2の「逆数」は2分の1,5の「逆数」は5分の1です。(2×1/2=1 、 5×1/5=1となるからです。)
たとえば、10÷5=2の場合は、10に5の逆数(1/5=5分の1)を「掛ける」ことですから、10×1/5=2となります。このように割り算の場合は、「逆数」を掛けて掛け算にしてみれば、正しさが判定できます。
0の「逆数」は、存在しない!
-
ところが0での割り算、たとえば先程の例、
6÷0の割り算の場合は、0の「逆数」が存在しない訳です。ですから、6×0/0という式は存在しない。よって「計算不能」となるのです。
-
もう1つの例。掛け算の6×0=0となりますが、これを逆演算法を使って、割り算にしてみると、
0÷0=6となります。これもあきらかに「おかしい答え」です。
-
このように0で割ると、「おかしな答え」が出てしまうのです。つまり、整合性が保てないのです。整合性が保てないことを「矛盾」といいますが、数学上、矛盾の出現は、理論の破綻を意味します。そういうことから数学上、0で割ることが禁止されている理由と思われます。
-
次回の59号「0の原理」へ続きます。
〔参考本〕
-
『ゼロと無限の科学』別冊、ニュートンプレス