心に暗黒みたいに渦巻く感情。激情。
「久しぶりだね」「僕の調子はすこぶる良いよ。順調ALL GLEENさ」
愉快に踊る中村慧の目には僕が映る。
暗くて黒くて、彼の影である僕。
“そりゃよかった。僕は何もかも失ったよ”
“仲間には失望して、もう彼女しかいないと思ってた。1人になってしまうのは僕だったのさ”
僕は何をやってるんだろうと思う。
細い糸を手繰り寄せては、
それを断ち切るようなことばかりしてる。
それでも切れない糸を探してるって?
だっせぇ。そんなの無いよ。
僕には結局なんにも無かった。
「なんと愉快、結構。元来お前は一人さ。ずっと昔から望んでいたことだろうに」
口角をすこぶる上げて中村慧は言う。
彼はいつも一人で踊る。
まるで透明な女性の手を引くように踊るのだ

。。。
『今夜は船のパーティー、きっと来る♪』
カチカチという音と共に、
煩わしい音楽が僕の耳に響いてる。
あれは誰だろうか、一人の女性が踊っていて
丁寧に、でもさぞかし愉快に踊る男性に手を引かれているように見える。
煩い音楽に嫌気がさしながらも、
退屈もあってか、僕はずっと彼女を見ていた
しかし、ひと度まばたきをすると
それらはふわりと消えてしまった。
。。。

僕が積み上げてきたものは
どうやらくだらないことばかりみたいで
頑張ってお金を貯めたり、
何度も何度も悩んで考え抜いたり、
あぁ、思い出してもあほみたい。やめよう

。。。

今僕は何を待っているのだろう。
久しぶりに連絡した女からの返信?
友達に何となく質問してみた答え?
昨日死んだ祖父に流しそびれた涙?
さあ、そのどれなのだろう。
その全てのような気がして、
僕は叫びたくなる。
頭にあるのはなに?これは誰?
お前じゃない、お前だけはない。
初めて「お前」なんて呼んだよ。君を。
あほみたい。どこまで繰り返す。
何だったんだよ、この何年かは。
面倒だもう何もかも。死ね僕もお前も。
今年はだめだなぁ、全く。
おみくじ引き直そうかな。

。。。

平然と日々を過ごす僕がいる。
ゆっくりと流れる月日のなかで
僕の心は少しずつ日常に馴染む。
珍しくニキビが出来た。もう何年振りだろう
そうして、なかなか消えてくれないニキビの跡ををなぞりながら僕は思い出したように考える。
潰し方が良くなかったのかな?
元々跡が残りやすいのか?
ニキビなど今まで数えるくらいしか出来たことがない。それにいつも気づいたら消えていたので、僕にはよく分からない。

このニキビ跡が消えたら

もうニキビが出来ることはそう無いだろう

このニキビ跡が消えたら

僕の日々はまた始まるのだろうか。

歯車は徐々に回転を始めて

過去の記憶は海馬の奥で少しずつ消えゆく

現実というのはどこまでも正直で

時間というものはどこまでも残酷だ。

分かってはいたはずだけれど、

僕は今更になって痛いほど実感していた。

新しい皮膚が再生して、元どおりになる。

このニキビ跡が消えたら、きっと



。。。



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