富山へ(3)岩瀬地区でチェコビール
2日目。部屋で朝風呂を楽しみ、商店街を歩く。
歯抜けになっていて寂れている場所もあるけど、新しいスポットも誕生している。西武百貨店の跡地はマンションと商業施設の複合施設に。商業エリア「SOGAWA BASE」1階には、美味しそうなフード店が集まっている。
飲み放題が楽しめそうな飲食店も。この辺で晩飯も良さげ。
富山ライトレールに乗って岩瀬地区へ。北前船交易で栄えた廻船問屋などが建ち並ぶ通りをぶらつく。
遅めのランチをいただこうと、近くの『KOBO Brew Pub』を覗く。
廻船問屋であった馬場家(国登録有形文化財)の旧米蔵をリフォームし、マイクロブルワリー&ビアパブとして再利用している。
コチャスさん(右、チェコ出身)とボリスさん(左、スロバキア出身)を、満寿泉を醸す『桝田酒造店』の社長(中央)がバックアップして、2年前にオープン。桝田社長の町おこし活動の一環というわけだ。
タンクなどのビール醸造用設備はガラス張りで蔵の中心に配置されている。
長〜い一枚板を使ったロングテーブルの中心に拠点を構え、注文をしにカウンターへ向かう。
余談だが、壁際のほうに座った俺は、カウンターで注文をしたビールを運ぶたびに、長いだけでなく幅も広いテーブルを半周しなくちゃならなかった。次回はきっと端っこに座ろうと決意した次第。
会計は、注文の都度精算するキャッシュ・オン・デリバリー方式。BABA WEIZEN(馬場ヴァイツェン)、DRAGON ALE(ドラゴンエール)、MIKAN ALE(みかんエール)、SAYS IPA(セイズIPA)という、おすすめ4種の飲み比べができるテイスティングセットを2つ注文。
4種のビールは、総じてドライ。氷見のワイナリー『SAYS FARM』で栽培されたメルロー種のブドウ果汁を使用したというセイズIPAは、確かにワインっぽい。そして、IPAっぽさは薄め。ドラゴンエールは満寿泉の酒粕を使ってると言うけど、ちょっと判らない。鼻が詰まってるのかな?俺。みかんエール……、フルーツの名を冠したビールに対して、ジュースのようなフルーツビールを想像してしまうとアレレ???となることがしばしば。今回もそうだった。呉羽地区産の梨を使用したという馬場ヴァイツェンについては、言われてみれば霧の向こうに梨が見えるかも〜。
昼食なので、しっかり食べなくちゃ。注文したのは、ソーセージBIG、ソーセージセット、フライドポテトの3品。ソーセージやパテは、ハム・ソーセージの製造販売を手掛ける地元の『メツゲライ・イケダ』が作っているという。
ソーセージは、皮がパリッとしていて、味はしっかり。ビールが飲みたくなる一品。持ってきてくれたボリスさんが3種のソーセージを説明してくれた……んだけど、よく聴き取れなかった。ハーブっぽいのがホップで、こっちがキャロット?人参? あ、えーと、なんだって?
付け合せのザワークラウト、甘くなくて酸味を感じて美味しい。これ好きー。
フライドポテトは塩気でビールを飲ませるやつ。
ボリス家のレシピをもとに作られているというソーセージBIG。パプリカ由来と思われる赤いソーセージ(クロバッサ)はスパイスが効いていて、サラミやケバブに近い風味。だからなのか、サラミスライス的なクロバッサスライスというメニューもある。味見をするなら、そっちで充分かもしれない。
つづいて、PREMIANT PILSNER(プレミアントピルスナー)とPILSNER(ピルスナー)の飲み比べ。ピルスナーと言えば、チェコのピルゼンが発祥。チェコビール=ピルスナーと言っても過言ではない。さてさて。
ピルスナーは、馴染みのある味で飲みやすい。相方好みでもある。「日本人向けに苦味を抑えている」という工夫が成功しているのかも。プレミアントピルスナーの「プレミアント」とは、チェコ産「プレミアントホップ」のこと。ピルスナーに比べると、苦味が強く、しっかり主張のある風味。こっちのほうが本場チェコのビールに近いかもしれない。
締めの2杯。3A LAGER(トリプルAラガー)と、DARK LAGER(ダークラガー)。ダークラガーは、コチャスさんが約10年間働いていたという日本海倶楽部(能登)のビール。
トリプルAラガーは、日本で大量消費されるビールに近い味わい。暑い日にグビグビ飲むなら、コレが1番のような気がする。ダークラガーは、黒ビールのような見た目とは異なり、あっさりした風味。飲みやすいけど、もっとどっしりしたスタウト系も飲みたくなっちゃったよ。
追加のつまみ、パテとピクルス。パテにはダークラガー、ピクルスにはトリプルAラガーが合うので、そのペアリングで最後まで駆け抜けた。
ちなみに、ビール以外のドリンクは、ソフトドリンクのみ。
チェコの国民酒ベヘロフカ(薬草酒)とか、スロバキアのボロビチカ(ジンの主原料ジュニパーベリーの蒸留酒)はないかと思って、メニュー表をひっくり返したり、お店のオネエサン(実はボリスさんの奥様)に尋ねたりしたけど、置いていならしい。残念。どちらかひとつでもあればビールがもっと楽しく飲めると思うんだけどなぁ〜。
最後に「KOBO」という店名の由来について。ファクトリーの「工房」と、イーストの「酵母」というダブルミーニングだと思い至り、奥様に尋ねると「それもあるんですけど」とフォローしてくれた上で、2人の名前(「コ」チャスと「ボ」リス)の頭を取って名付けたことを教えてくれた。
桝田酒造店のお膝元にチェコ&スロバキアのブルーパブができたのは、革新的な出来事だ。
(つづく)
【寄り道】
KOBO Brew Pub