こんばんは、寅吉です。
今日は、事業承継について、お話しします。
2007年版の中小企業白書によると従業員規模別社長交代率は、2006年で約3%と過去最低となっています。
規模が小さいほど社長交代率が低下傾向で、団塊の世代が引退時期に差し掛かる状況下、特に小規模企業において、事業承継が非常に困難な状況になっています。
事業承継が進まない主要因の1つに、事業を承継したいという後継者がいないことが挙げられます。事業者として得られる収入が雇用者収入を下回っており、その差は拡大傾向で、後継者の子息・子女の多くが、親の経営する会社に入社せずに自らの生活基盤を築いているケースも多いようです。
中小企業白書によると、後継者が決定している企業に限定しても、事業承継に関して「十分に準備を実施している」と回答した企業は約2割にとどまっています。
廃業によって、雇用や企業固有の技術・ノウハウなどが失われてしまうことは、我が国経済にとっても大きな損失であるとともに、中山間地域においては生活することが困難な買い物難民を生み出しています。
財団法人岡山経済研究所の「中小企業の事業承継に関する研究報告書」によると経営者の事業承継について、「誰にも相談していない」と回答した人のうち、「既に対策済であり相談する必要がないと考えている」経営者は3割弱で、それ以外の7割の経営者は、「相談できる人あるいは支援機関が身近にない」、「どこに相談したらよいのか分からない」と答えています。
さらに、事業承継における自社の問題点で高い項目は、「自社の属する業界見通し」、「予定者の経営能力」及び「技術力・競争力の持続」と答えています。
また、経営者が相談する主な相手先の8.6(複数回答)が「経営コンサルタント」であるのに対して、5割が「税理士・会計士」となっています。
私見ですが、税理士は、事業結果の財務諸表から「コストカットなどによる収益性向上」や「資産売却等による効率性向上」などのアドバイスは得意な分野だと思います。
しかし、経営者や後継者が求めている「後継者を育てる環境を整備すること」や「業界の見通しを立てることができるよう様々な情報提供をしていくこと」、「持続的な技術力を保有することのできる仕組みや競争力強化を支援する仕組みを作っていくこと」のお手伝いは、我々のような中小企業診断士が市場環境の分析よる企業の強みを再確認していただくことや国の中小企業施策などの情報提供を行うことだと思います。
事業承継に際しては課題も多いと考えていますが、早期に準備を進めることで、克服できるものも多いと思います。
当然、事業承継は、テクニカルなことも多いため、税理士や弁護士など、様々な方々と連携する必要があります。
我々のグループも、経営者や後継者に将来に対する夢を提供し、より円滑な事業承継を進めていくことのお手伝いをしたい思います。