11.7兆円の霧散と160円回帰。稚拙な介入が招いた「ドル買い」の次なる好機 | 佐藤りゅうじの今宵もうっしっし~

佐藤りゅうじの今宵もうっしっし~

FOREXを中心に、マーケットの鼓動をお伝えします

日経平均株価が6万8000円台へ突入し、TOPIXが史上初めて4000ポイントの大台に乗せるなか、ドル円相場もついに、巨額の円買い介入が実施された4月30日以来となる「1ドル=160.00円」の大台にタッチした。流石に大台突破に際しては介入警戒感が走り、すぐさま160円台での値固めには至らなかったものの、それももはや時間の問題だろう。
 

片山財務相は「必要に応じいつでも適切に対応する」と相変わらずの牽制発言を繰り返しているが、4月末からの一連の介入で実に11.7兆円もの巨額の実弾を投じた結果が、わずか1カ月での160円台回帰である。市場が学習してしまった以上、次に待っているのは当局への恐怖ではなく、介入による急落を突いた「ドル円の押し目買い」に他ならない。
 

以前も指摘したが、今回の通貨当局の防衛戦は極めて稚拙だった。4月末の局面で「1ドル=155.00円」を明確に割り込ませることができなかった、その一事に全ての失敗が集約されている。仮にあの局面で155円を割るまで徹底的に叩いていれば、市場にはさらなる投げ(ロングのストップロス)が巻き起こり、ドル買いの息の根を一時的に止めることができたはずだ。そうなれば長期的にはともかく、少なくともレンジの下限が152~155円へと移行し、市場に強烈なトラウマを植え付けることができた。この早すぎるタイミングでの160.00円回帰を許すことはなかったのである。
 

今後の具体的な戦術としては、本命である「介入後の押し目買い(ドルロング)」を引きつけるため、まずは160円台前半での短期的なショート(売り)で上値を叩きつつ、出方を伺う。ただし、もし161.00円に乗せた局面でさらにドル買いが加速するようなら、いさぎよく撤退して次の展開を見極めたい。
 

当局による「性懲りのない介入」は近いうちに再び実施されるだろうが、そこは絶好の押し目買いで対応するスタンスだ。160~161円台で次回の介入が実施されれば、相場は157~161円前後の新たなレンジへとシフトしていくだろう。万が一、次こそ155.00円を割り込ませるような執念の介入を見せるなら「大英断」と言えるが、それでも高市政権が拡張財政路線と緩和的な金融政策を継続する限り、大潮流としての円安のトレンドが覆ることはないとみる。