原油は下がっても、エネルギー高は終わらない? | 佐藤りゅうじの今宵もうっしっし~

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FOREXを中心に、マーケットの鼓動をお伝えします

イラン攻撃は土壇場で2週間延期となった。
原油価格は117ドル台から91ドル台まで急落し、その後は97ドル台へ戻すなど、マーケットは今回の延期が恒久的な停戦につながるかどうか、依然として懐疑的だ。一方で、トランプ米大統領としては、米中首脳会談や中間選挙を控える中で、早期に幕引きを図りたい思惑があったとみられる。パキスタンの提案は、その意味で魅力的だったのだろう。
 

停戦してもエネルギー価格は元に戻らない可能性
仮に2週間以内に停戦合意が成立したとしても、エネルギー価格が以前の水準に戻るかは別問題だ。
今回の一連の混乱を受け、多くの国が石油備蓄の積み増しを検討するだろう。
一方、供給サイドでは、輸出できなかった原油がタンクに滞留しており、すぐに増産へ転じるのは難しい。
そもそも多くの設備が老朽化しており、増産余力は限られる。
つい最近まで「脱炭素」が世界的テーマだったこともあり、新規の石油プラント建設には各国・企業とも消極的だった。さらに、次期米大統領がどの政党から選ばれるかも不透明で、再び脱炭素政策が強まる可能性もある。
 

エネルギー高はインフレ加速につながる
こうした背景から、エネルギー価格はしばらく高値圏にとどまるとみる。
それは同時に、インフレ圧力の強まりを意味する。
原油価格はガソリン価格などに比較的早く転嫁されるが、肥料(天然ガスがコストの約8割)や生産・収穫・流通といったサプライチェーンを通じて、遅行的にインフレを押し上げる要因も多い。
この秋にかけて、インフレ圧力が一段と強まる可能性が高い。