ああ、そはかの人か 、
・・・


あにさん寒かろう?

おまえは寒かろう?

生えた霜だけ

痛々しいので、

寒い寒いと泣いた喉

そのの奥がひっそり凍り付く

頭のつららは離れない

沼は凍って

亀も眠って

魚は沈んで

藻が固まって、

たったひとつの布団もとられて

小さな兄が

小さな兄と

お互いひっそり聞くのです



あにさん寒かろう?
おまえ寒かろう?





そこに立っているそはかのひとと、

そこに立っているそはかのひとと、

返事を待った

待ちぼうけ

待ち人遅く来たりて来る笑う

兄さんひっそりくすくす笑う

喉の奥

引きつった

凍り付いた

鳴き声の、・・・

不気味に思って笑うのを止めた

ああそはかのひとが離れていった、

知らないものだけ張り付いて、

氷がだんだん尖って消えた




あにさん寒かろう?
お前は寒かろう?



まったくあなたが冷たい人だ。

それでも兄弟なんだから、・・・

ちょっと、少しでも

火をおくれ

火でもなければ憎らしい

この憎しみが生えていっても

眠りのなかには戻れない。




あにさん寒かろう?

おまえ寒かろう?





ああそはかのひとか、まだか








(vendredi,23,mars,07)

今すぐあしたになってたら
慌てて昨日を抱きしめる
ひとつひとつの時計の音が
夢にこぼれてちょっとだけ消えた
残りの時計は夢のなか
あしたの時計も夢のなか
夢であしたに出会えたら
きのうの夢すら二度と会えない
会えない夢の長い夜
あしたと昨日に会えた夜


今すぐあしたになったらすぐに
ぽいとまとめてそのまま捨てる
明日の次も、夢のなか
ごみ箱代わりの夢は一杯
紅茶に溶かして流し込む
焼けてただれたかわいい喉が
夢でピイピイ鳴き出した


熱い紅茶にあしたを一杯
くるくる混ぜて飲み込んだ
時計の音は夢のなか
いつまでたっても消えない明日
わがまま一杯
夢を三杯
居場所をなくしたきのうのかけら
いつかは消えてしまうのに、
昨日の夢を撫でてやる











(lundi,27,juillet,09)


エレベータの中の馬鹿げた空気の
その次、もしくはそれよりも酷い苛々の
私は花火だなんてきっと一生
そんなものはごめんだ、
ごめんね、
ごめんだ、
・・・


誰か蝋燭持ってこい
そうしたら今すぐ玉屋なんて燃やしてやる
それを忘れてしまおうとした
一瞬で通り過ぎたふざけた花火の野郎め
もう一度ビールを吹っかけて帰る
ごめんだ、
ごめんよ、
・・・


エレベータでいつだって窒息して
ついでに花なんか買っちゃって
エレベータに乗って帰ろう
帰ろう
ついでに花なんか買っちゃって





(lundi,30,juillet,07)

夜に夜
夜のすぐ近く
ころりと落ちる音がする
ことりと倒れる音がする
夜の夜
もっとすぐ近く
音しか見えない
夜がころがる音がする
近くでハツハツ息がはじける音がする
夜の音
水の中
泡の音
夢の中
ころりと静かに何かがころがる音がする
ことりとそのまま眠った夜の音がする






(lundi,14,juin,10)