午前中、どうしても外せない用事があって
私が帰るまで、母には家にいてもらいたい。
なので、嘘をついて引き留めることにした。
「午前中、
シャインマスカットが届くから、家に居てね。
もしも不在だと、この暑さで傷んじゃうから。」
「はい」
素直に頷く母
本当は受取時間を午後に変更してある。
母がちゃんと受け取れるか、信用していない私。
用事を済ませて昼過ぎ帰宅すると
ちゃんと施錠してある。
まさか、出掛けた?
母は自室で大音量でテレビを見ていた。
私が帰ってきたことも気が付かない。
これでは宅急便がピンポンしても聴こえないだろう。
やっぱり午後指定にしておいてよかった。
デパ地下で買ってきた惣菜を
食卓に並べていると
やってきて
「今日は会社、行ってたの?」
「そう、お昼買ってきたから、食べよ!」
「わーありがとう。」
いちいち、母の言うことを訂正するのはやめた。
機嫌良く2人でごはんを食べて
この後。
午後が大変だった。
「ちょっと、そこらをぶらぶらしてくるわ。」と言い出し
私はブドウ受け取り指定の2時間は出られないので
「ブドウが来るまで待ってて。」と
何回説明しても
母は
「ひとりで行ける。迎えに来なくていいから。」
子供のように駄々をこねる。
なるべく静かに話したいが
気がつけば、
母が決してひとりで帰って来られない事。
私が迎えに行って、どれだけ大変だったか。
声を荒げて説明していた。
母は全く覚えていないので
納得しない。
いつまで続くのだろう。
最後は
私が大声で怒鳴って終わった。