数ヶ月前から奥歯が痛くて、
味噌汁に入れた細かく刻んだ油揚げさえ
食べられなくなった母を
家から一番近い、初めての歯医者へ連れて行った。
私なら徒歩2分で行けるが
母は杖をついてヨロヨロ、約10分。
先生が
「抜かないといけない歯が、たくさんあるけど
今回は、痛い一本だけ抜きます。」
麻酔をするので
4日後に予約して、帰ってきた。
当日の朝、支度をしていると
いつもなら起きない愛犬が
なぜか早起きして
ずっと私の側を離れない。
とうとうドアの前で茫然としている愛犬を放置して
家を出てしまった。
後ろ髪
引かれまくり。
歯医者さんに5分遅刻して
予定を15分過ぎて抜歯。
母を待っている間
家に戻ってみると
やはり
私達が家を出た時のままの愛犬がいた。
愛犬に事情を説明して、また歯医者さんへ戻ったら
ちょうど抜歯が終わった所だった。
「歯茎が傷んでいたので
ひと針縫いました。
入れ歯を入れてありますが
翌朝まで絶対外さないでください。
外してしまうと、傷が炎症を起こしてしまうので。」
と先生が丁寧に説明して何度も念を押し
注意書のプリントも頂いた。
母は既に口を大きく開けて
歯を触っている。
気になって仕方がない様子。
家に戻り、ふと見れば
もう入れ歯を外していた。
「絶対外さないでと言われたでしょう!」
大きな声で
私に言われて
渋々
入れ歯を口の中に入れた、
その直後に
また外している。
これが認知症なのだ。
その上
「痛い。痛い。こんなの初めて。」身をよじる様にして痛がる。
抜歯して
こんなに痛いのか。
自分の時は
痛くなかった記憶があるんだけど。
もう一度
歯医者へ連れて行った。
入れ歯を調節して、ロキソニンを貰った。
午後からのデイサービスも
母が痛いから行きたくないと言うのでキャンセルした。
介護施設(料理教室)に電話したら、
キャンセル料は絶対必須と言う。
契約書には
急病の場合は
キャンセル料は発生しないと明記してあるのに
「絶対、いただきます。」と押し切られた。
キャンセルしたいと伝えたら
「別の日に振り替えてくれ」と、しつこかった。
だって、本人具合が悪くて他の日も休もうと思っているのに
こんなアコギなやり方は嫌だ。
納得が行かず、ケアマネさんに報告した。
数分後にケアマネさんから
「キャンセル料、発生しない事になりました。」
そして母を見れば
けろっとして
「午後からデイサービス行くのよね。」
「行かないよ。
ママが行きたくないから断ってって
言ったでしょう。」
もちろん母は忘却の彼方。
それでも、麻酔して抜歯したら
かなり疲れた様で
夕食とお風呂をパスして寝てしまった。
翌日は、あんなに痛くて食べられなかったのが嘘の様に
何でもパクパク
平らげている母に
感心する。
ずっと味噌汁の汁だけ飲んで
具は全部捨てていたのに。
大騒ぎした甲斐があった。