『山形県産 尾花沢スイカ』4Lサイズの8分の1が、
580円。
高いけど、今年はまだスイカ食べていないし、
これで(今年)最後になるだろうから、と
スーパーで見ていたら
母がそばで
「私は食べない。要らない。」
鬼の形相で言う。
「私は食べる。」ハッキリ言い返した。
また「私は食べない。」と頑張るので
「私は食べる。私は買う。」
まるで日本語教室の会話だ。
母を無視して、スイカを選びカゴに入れた。
ヨーグルトも
「私は食べない。」と言う母に
「毎朝、食べてるよ。」と言うと
不思議そうな顔をする。
数ヶ月前までは一緒にスーパーに行くと
「欲しいものがあったら
なんでも買いなさい。」と
気前がよかったのに
最近は、とにかくケチる様になった。
そして
私よりたくさん食べるくせに、食べない。と言うから
癪に触る。
今日だって気温が『体温越え』で
外出は控えましょうの時間なのに
おやつに出したココナッツサブレを
いたく気に入って、
どこで売ってるの?これからすぐ買いに行こう。
後で夕方、行こうよと言っても
無視して、
グイグイ出かけるから、
仕方なくついてきたのに。
会計の後
母はさっさと
スイカとココナッツサブレを
自分のリュックに入れて
シルバーパスでバスに乗ってしまった。
私にもバスに乗れ、と言うので
「私はタダじゃないもん。230円かかるのよ。」と言ったら
「バス代くらい自分で払いなさいよ。」
母の顔が別人に見えた。
今までだったら
「バス代くらい払ってあげるわよ。」だったのに。
いや、払ってあげると言われても、私は乗った事はないし
たったひと停留所だしね。
それに歩いて帰る私の方がずっと早く家に着く。
おかえりなさいの舞をする犬をあしらいながら
手足を洗ってから着替えた頃
ようやく母が帰って来た。
スイカを
さっそく二等分にしてお皿に出すと
母は当然の様に
食べ始めた。
山形県産の尾花沢スイカ、初めてだけど
キメが細かくなめらかで
甘くて美味しかった。
きっちり二等分にしたスイカを
母は
残った分は後で食べるからと
自分でラップして仕舞っていた。
いつもなら私に食べろと言うのだけど
よほど美味しかったのだろう。
なのにあれだけ食べない宣言をして、あきれる。
もっとあきれたのは
数分後、昼寝をした母がムクリと起き上がり
「寝てると上がってきそうで」と苦しそうなので
「スイカを食べたからね。」と言ったら
「スイカなんか食べてない。」だと。