母の耳が遠いのは知っていたが

家の前を走る救急車のサイレンが

聞こえないのは、びっくりした。

 

ついさっきまで

母に何度も同じ質問をされて

イライラしていたが

これで、納得してしまった。

 

テレビの音量が38で

一緒にいると、頭痛で倒れそうになる。

 

シルバーパスの大封筒を見つけては

「申請しなきゃ。」と騒ぐ母に

「もう送った。払込票が届くのを待っているの。」

 

このやり取り

何十回やったか。

あんまりしつこいので

その大封筒にマジックで

「払込票が送られて来るのを待つ」と書いておいた。

それでも

やっぱり何度も騒ぐ。

 

私は

お腹から声を出して説明するから

フラフラだ。

 

人によっては

紙に書いておくといいと聞いたが

うちの母には通用しない。

 

そのくせ、介護施設からの連絡帳が入っている透明のファイルを

「これは私の名前が書いてあるから、私のものだ。」と胸に抱え込む。

母に預けたら

どこに置いたか忘れて、探し回るのが面倒なので

取り上げようとすると

「私の名前が書いてあるんだから、私が持っていていいんでしょ!」

ほぼ怒っている。

 

扱いにくいわ。