午前中

ハローワークから帰って来たら

母が出かけていた。

 

午後2時、既に家を出て4時間経つ。

熱中症になるのも時間の問題か。

エアータグは

二つのバス停を往復している。

 

時々途中で降りては、またバスに乗っている。

 

いつもと違う路線だ。

目的のバス停に行くと

どうやら今、バスに乗ったらしく

路線図通りの地名がエアータグに出てくる。

 

熱風が吹く中、辛抱強く待った。

時々、クーラーが効いたお店に入って

涼み、バスを待った。

 

三台目のバスが来て

前ドアから覗いたら

母が座っていた。

 

「お母さん、降りて、降りて!」

思わず叫んだ私に

バスの運転手さんが

「一旦、乗って下さい。」と制してから

母に向かって

「ここで降りて大丈夫ですか?よかったですね。」

にこにこしながら

 

私に

A4くらいの紙にボールペンで大きく、

母が帰れるように

乗り場と、乗るバスを書いてくれたのを

手渡してくださり

 

本当にこの時は感謝の気持ちでいっぱいだった。

 

運転手さんが書いてくれた説明書きを見ても

母は帰っては来られないと思うが

お忙しい中

老人のためにここまで親切にしてくださったのが

本当にありがたい。

 

母の徘徊は

もう諦めるしかないのかもしれない。