母がデイサービスから上機嫌で帰って来て
机の上に置いてあったレシートを見つけて
「いくら払えばいいの?」と訊くので
「払ってくれるなら二千円。」
自室へ行って何やら騒いでいる。
「ハンドバッグがないんだけど!」
見に行くと
確かにいつも置いてあるところには無かった。
探していると
ハンガーにかけた上着の下にある。
「丸見えだと危ないから、隠しておいたんだった。」
はいはい
私は夕食の準備で忙しい。
台所に戻ると
また大きな声で何やら騒いでいる。
「ハンドバッグがないの!」
「さっき、ここに隠したって言ってたよ。」
「あ、ホントだ。」
いちいちガス台の火を点けるから、時間がないわ。
するとまた
「ハンドバッグがないんだけど!」
面倒くさいからしばらく放っておく。
しばらくして
「ハンドバッグに財布がないんだけど?」
見ると、確かにない。
どこへやったの!
家の中にあるのは間違いないんだから
後で探せばいいんじゃない?
「財布がない!」
ずっと騒いでいる母をスルーして
とにかく味噌汁を作る。
「ご飯出来たよ。」
配膳しながら、ふと見ると
新聞の下にあったよ。
財布。
「どこにあったの?」
どうやら、私が隠したと疑っているらしい。
横目で私を見ている母に向かって
「私、お金持ってますから。ひとの金なんか取らないわよ。」
一応言っておいた。