朝9時半に病院に連れて行ったら、

午後4時にお迎えに来てくださいと言われて

駅ビルで時間を潰した。

 

時間ぴったりに病院のロビーで待っていると

妙にカン高い声でキャーキャーと鳴き声が聴こえる。

看護師さんが愛犬を抱いて連れてきたら、甲高い鳴き声はうちの仔だった。

床に置いてハーネスを着けようとしたら

クネクネとうつ伏せになってしまう。

「今まで点滴をしていたので止血止めしてあります。」

前脚に白いテープが巻かれている。

 

診察室に呼ばれるまでの間も

愛犬はキャーキャー鳴いている。

こんなのは初めてだ。

先生に尋ねると

「麻酔から覚醒するので心配ないです。」

あっさりと言う。

 

歯周病がかなり進んでいたので、全部抜歯した旨の説明を受けた。

顎の部分は歯の骨が溶けてしまったので、

抜歯後、顎を強く打つと骨折しますと言われて

叫びそうになった。

 

帰りの電車の中でも

キャーキャー鳴く。

いつもは声を出すことがないのに。

 

17時半過ぎ帰宅すると

真っ先に水飲み場に行くが

水を飲んでいい時間は19時。

飲み込む力が戻るまで待たなければいけない。

 

水はそこにはない。

何度も何度もそこに行っては

キャーキャー鳴く仔に

 

母が見兼ねて

「もうあげていいんじゃない。」と言うのを

「もしも、むせてしまったら、取り返しがつかないよ。

誤嚥するからダメなのよ。」

何度も同じ説明をする。

 

こんなにお水を欲しがる仔を前にして

胸が張り裂けそうだった。

今思い出しても涙が出てくる。

 

苦肉の策を編み出した。

「えらやっちゃ、えらやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ、

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損損」

歌いながら踊ってみると

犬が不思議そうに見ている。

少しは気が逸れたかな。

踊りながら泣く私と

水が欲しくて鳴く仔と

狭い部屋の中で

苦しい1時間半を過ごした。

 

そして合間に

「もういいんじゃない。」といちいち言う母をなだめながら。

 

やっと19時になって

念願の水を

最初は舐めるだけ

少し入れて

様子を見ながら50ccほど飲んで

 

あと

何も食べない。

 

朝から何も食べていないのに、食べない。

 

母が買っておいてくれた焼き芋を

ほんの少し食べた。

 

手術した日は注射してあるから

薬は飲ませなくていいので

そっとしておいた。

 

問題は翌朝。

ぐったりしたまま、微動だにしない。

そう言えば

おしっこもしていない。

私と母はどうしても出かけなければいけないので

エアコンをつけて外出した。

 

お昼過ぎに帰宅すると

犬は

朝見た時と

全く同じ状態で

1ミリも動いていない。

 

フードはおろか薬も口に入れてくれない。

おしっこに行こうと

本人身体を起こすも

後ろ脚がフニャフニャで立てない。

 

抱っこして外に出る。

 

痛み止めを飲ませる事に気がついたが

空腹時は避ける

なるべく満腹時に飲ませるとあるので

まずは何かを食べてもらわないといけない。

 

困った時のかぼちゃさーん

のはずが、

食べてくれない。

 

甘い焼き芋はいかがですか。

はい、大成功。

勢いに乗って

ふやかしたフードを口に運んで

痛み止めをフードに混ぜ込んで、完食してくれた。

 

痛み止めを飲んでしばらくしたら

みるみる元気になって

そんなに痛かったのかと

またかわいそうになる。

 

フニャフニャだった後ろ脚も

スクっと立てるようになって

シャキシャキ

おしっこに行く。

 

病院のクチコミには

高齢犬でも麻酔の後元気に帰ってきましたとあったから

うちの仔も

てっきり同じように帰れると思い込んでいたけど

違った。

 

手術の後

先生も「もう大丈夫のはずだけどな。」

さほど

心配要らない口ぶりだったから

こんなに

辛い思いをするとは思わなかった。

 

結論を言うと

今回の抜歯は、やって大正解だった。

何も気付かずにいたら

顎の骨が溶けて

取り返しのつかない事になっていた。

 

術前の精密検査で

病気が見つかり

その治療も始まった。

当分二週間おきの通院になるだろう。

 

JRで手荷物切符を買うのも慣れたし

お高いけど、しっかりした作りのキャリーとキャスターを購入して

ホントによかった。

これから長い期間使う事になるから。

 

犬の歯磨きが出来ない飼い主は

私以外にたくさんいると思う。

個体差があるから

歯磨きしなくても歯石がつきにくい仔だったらラッキーだけど

大抵の犬はそうじゃない。

 

歯磨き出来ない飼い主は

お金を貯めておきましょう。

今の私が言えるのはこれだけ。

 

以上