TAPを退職した後に中堅予備校である日吉ゼミの現場を任された時の話です。
まず調査をしたことがあります。
辞めた生徒の担当者にアンケートをとりました。
そうしますとトラブルがあったり嫌で辞めた生徒はほとんどいないということがわかりました。
ほとんどの生徒は部活が忙しくなった、曜日の都合が悪い、とか授業時間に間に合わなくなったという理由でした。
1度辞めた塾にもう1度戻るということは生徒も保護者も気兼ねしてるのですね。
そこで全員に手書きの丁寧なメッセージを郵送しました。
口コミは具体的な物で伝わるというのが信念です。入会金無料のクーポンを同封いたしました。
もともと学習塾とトラブルがあったり嫌で辞めたわけではないわけですから、半数以上の生徒が戻ってきました。
保護者面談をしました。そうしますと一旦辞めた後も心配をし、その後お元気ですかという手紙が来る学習塾は他にない、お手紙を受け取った時にはすごく嬉しかったです。大変素晴らしい塾だと感謝されました。
50人ほどの生徒に手紙を書きました。切手代しか経費はかかりませんし1日あればできる仕事です。
これで経費をかけずに30名ほどの生徒を一気に増やしました。
広告を出して新しい生徒を獲得する、一方で辞める生徒も多いということは学習塾にとっては自転車操業で大変危険です。
テレビのCMや新聞の折り込みチラシの広告で常に生徒を募集してるような大手学習塾は辞める生徒も多いからです。学習塾経営は新しく生徒を集めるよりも今いる生徒に喜んで通ってもらうことの方がはるかに重要なのです。
辞める生徒がなければほとんど広告を出す必要はありません。生徒数が多い塾が良い塾だと考えられがちです。しかし1年間ずつ6人の生徒が入れ替わり立ち代わりに通っても1人の生徒が6年間通っても同じ生徒数なわけです。学習塾の経営の指標のうち最も大切なのは滞留率なのです。 つまり一人の生徒が 3年間通うのか 3人の生徒が入れ替わり立ち代わり 在籍してるのとは全然違うわけです。 ひどい例になれば 生徒が500人いても 一人一人が短期間に 入塾したり 退塾 するということ の繰り返し では 経営を揺るがしかねません。
ですからやたらめったらに広告を出している大手塾は辞める生徒が多いということを自ら証明しているようだということは保護者には理解していただきたい。
非常勤講師についても同じことが言えます。どんなに優秀な非常勤講師がいても半年や3ヶ月で辞めてしまい新たに人材を募集するようでは自転車操業であります。そこで求人広告の経費を考えれば非常勤講師の時給を上げた方がいいのでは、と提案いたしました。
首都圏の中堅学習塾では私立文系の志望者が多いわけです。英語だけとか国語だけをとっているという受講生が多いわけですね。
塾への帰属意識が違うんですね。
明らかに1教科だけ取っている受講生の辞めている率が高いわけです。
特に注目すべき問題がありました。それは急速に発展している予備校ですので形式的に地学であるとか倫理社会であるとかこういった科目を設定しているのですがどうしてもそういう科目は 学生アルバイトの 非常勤講師が担当しているわけです。したがって辞める生徒が多いのも当たり前なのです。
正社員である専任講師が全く知らない生徒がいるからです。
半年ぐらいかかりましたけれどもシステムを作り直しました。まず英語総合を必修にしてテスト授業を作りました。これにより専任講師が知らない生徒が1人もいなくなりました。保護者や生徒が来ても必ず教えている先生が常駐しているわけです。
新たに作ったテストクラスというのも現場主義です。テストを外注しているわけではありません。実際に英語総合という科目を担当している講師が講義で教えた内容のテスト問題を作り採点するわけです。一人一人にアドバイスをすることができます。また担当講師もここはここはきちんと教えたはずだけれども正答率が悪い。もっと丁寧に教えるべきだったと反省することできます。
さらに最大の発想は英語総合科目のほかに英語の選択科目を作ったことです。これにより英語総合・英文法・英作文とかで週に3回くる生徒が出てきたわけ。
学習塾経営で最も大切なことは帰属意識です。闇雲に生徒数のみを増やすということはかえって危険なわけです。
経営者には次のように申し上げました。
学習塾で全体の人数を闇雲に増やしたり規模を追求するとかえって経営が危険である。
1教科だけ取っている生徒が300人いるのと3教科取っている生徒が100人いるのでは全然違う。
後者 の方がはるかに管理する手間暇や経費が多くなります。
全体の人数が減ったとしても 経営の安定ということでは後者のほうが優れている と申し上げました。
これにより全体がファミリーのような予備校ができました。授業がない時でも生徒 や卒業生 が気軽に遊びに来たり相談に来るわけです。
一見雑談に見えるかもしれませんけれどもこれは重要な指導の一環です。雑談の中に生徒の本音や保護者の本音が出てくるからです。
おかげさまでもう随分前の話ですけれども当時の生徒とFACEBOOKで繋がってたり、メッセージをいただくこともあります。 フェイスブックで見つけていただきまして 当時中学生だった 教え子が 30年ぶりにご連絡をいただいたのは大変嬉しいことで今も やり取りをしております。
学習塾は講師ではなくて教務なのです。
