セレクティング・リポートという言葉を聞かれたことがありますか?

 

これは非常に巧妙な手段で、メディアが世論を誘導することです。

この怖さは、あくまでも「嘘ではない」ということです。

 

たとえば、「いじめ」というのは、日本中で探せばどこかで毎日、いろいろな形で起こっていますね。

 

それを毎日メディアが一面で取り上げれば、日本中でとんでもないいじめが起きているように思う方もいるでしょう。

 

鉄道の軽微なトラブルや遅延は、ちょっとしたものから大きなものまで、日本全国で毎日のように起こっています。

 

しかし、新聞メディアがそれをセレクティブに選択して毎日乗せれば、まるで日本の鉄道はなってない、何をやっているのか、ということになるでしょう。

 

このおそろしいところは、一つ一つ取り上げれば、確かに事実であるものの、知らず知らずのうちにメディアが、あたかもそれが全体の真実であるかのように誘導してしまう。


 

 

例えば世論調査は、いろいろな組織がいろいろなところでやっています。

 

ある新聞が自分の都合のよい世論調査だけを取り上げれば、それは嘘ではないが、都合のよいように世論を誘導できるわけです。

例えば、景気の問題であっても、景気のいい会社もあればそうでない会社もある。

 

それはどんな時代でも、どんな地域でも、どんな業界でもそうです。

 

しかし、景気の悪い会社ばかりを取り上げてインタビューして、倒産したとかリストラしたということを報道すれば、そのように意図すればもとより、仮にそのつもりがなくてさえも、

 

「ああ、今の日本はすごく景気が悪くなっているのか・・・」

と、錯覚させることもできます。

確かに嘘ではありませんが、単に景気のいい会社を取り上げないだけのことなのです。

 

これをセレクティング・リポートと言います。

 

外国に行って、日本のメディアが現地の人にインタビューをしているところを見たことがある方は多いでしょうが、吹き替えでもないのに、直接英語でしゃべっているではないですか。これはわざわざ、英語を話せる人を選んでインタビューをしているからです。