2016-05-03
東京大学入試の地歴公民対策は、非常に難しい。
というのは、史実と史釈(歴史の解釈)の二つのうち、後者の史釈について論文入試が行われるからです。
「日本が、いわゆる「鎖国」をした」。
最近言われる歴史認識云々の問題ではなく、確実な歴史的事実です。
ですから、センターレベルでは史実を問題として出すのです。
しかし東京大学の入試ではそれを超えて、解釈を論文形式で述べるわけです。
「日本が鎖国したことによって日本はどのようなことになったかを述べよ」
鎖国については、
「日本独自の文化が育つというプラス面もあったが、その一方では、世界情勢から取り残されてしまうという側面もあった。」
といったように、玉虫色にまとめなければいけません。
一体、何を書いたらいいのでしょうか?
いわゆる「学会の定説」を書かなければいけない。
歴史事実の解釈については、様々な解釈や意見があります。
例えば、「邪馬台国は岡山にあった」という意見は、小説や歴史解釈の一つとしては面白く、興味深い話ではあります。
とはいえ「邪馬台国岡山説」というのは、学会で認められている事実でもなければ、教科書に書かれている事実でもありません。
このように、定説を知らずして、あるいは無視して、独自な意見を言うことはできないという、重要な学問的ルールがあります。
そして、定説ということになれば、東京大学の入試ですから、現職の東京大学教授の講義を参考にすべきことは言うまでもありません。
ここからは個人的解釈です。
日本は鎖国をしたといっても、世界情勢を知らなかったわけではない。
出島に来るオランダ人や中国人からの情報や、そこで得られた様々な文献を通じて、当時の日本は世界情勢を詳しく分析していたのです。
それでは定説を書かなければいけないということであれば、それはどこに書いているのでしょうか?
受験生レベルとしては、教科書で習っていることが定説だと考えてください。
そもそも、教科書に書いていることを書いてバツにされるのも変な話ですね。
さて、東京大学になると、さらに突っ込んだ議論がなされます。
その定説はどこに書いてあるかというと、一つの目安は東京大学出版会から出ている学術書が参考になると思います。
ところで、東京大学の教授が講義しているのをたやすく見ることができるということは御存じでしょうか?
それは、放送大学の講義です。
放送大学と東京大学の教授を兼務されている方が少なからずいらっしゃいます。
放送大学ほどためになるものはありません。
これはBSで日本中どこでも見ることができると聞いております。
放送大学は正規の大学ですから、きわめて学問的に厳格な授業をされているようです。一方放送法には触れないと聞いておりますので、学問の自由として首をかしげるところもあります。
しかしながら、これらを取捨選択しながら見ていくとどうでしょうか。
一例です。
「イスラームがわかる」と銘打った本を読むよりは、放送大学のイスラーム学入門の講義を見たほうが、はるかにためになります。
最近のISの問題についても、バラエティー番組の解説などに出てこられる高橋和夫先生は、本来5~6分の解説をさせるような方ではありません。
高橋先生は現在、放送大学で毎週金曜日放映の国際政治論を担当されています。
これは、凄く勉強になります。
視聴すれば、はるかに詳しいこともわかるし、通常のテレビ番組ではとうてい言えないようなこともずいぶん述べられているように思います。
また一方で、バラエティー番組ではレベルを落としてお話されていることもわかります。
(注)現在高橋和夫先生の国際政治論/パレスチナ問題の講義は、BSで集中放送中です。
大変興味深い。一つ。述べれば「北極圏のイスラーム」についての講義です。
日の入りから日の出までがラマダンであれば、白夜の国でのムスリムは・・・
要チェックだと思います。