2015年11月16日(月)オリジナル

 

■1■

 

さまざまなラーメンについて述べたFBやインターネットのサイトを見ていると、どうしても納得いかないことがあります。

 

「ラーメンの煮玉子って高いよね。だって、卵の原価なんて10円前後かそこらでしょう、それを100円で売るなんて、暴利だ」

こういった投書がみられるわけです。

 

私のように自分で会社を興し、商売をしている人間には、まったく理解できないことです。

 

 

 

 

さて、原価とは、一体何なのでしょうか。

 

スーパーで卵は10円程度で売っているのに、ラーメン屋では100円で売っている。だから暴利だ、こんな高いものはない。と思われているのでしょう。さて、大型商業施設の中でも、旗艦店では、建設費だけで東京スカイツリーと同じくらいかかっていると聞いております。そこに入店するには、数千万円の契約金がかかり、そのうえ改装し、設備を備えたうえ、テナント料を払わないといけません。     




 

 

たかが1000円のラーメンを売って、そんな場所でよく経営が持つなあとさえ思うのです。

 


 

 

経営をしたことのない人は、スーパーで売っているもやしや卵を見て、店に行って同じものがこれだけの値段で売っているから儲かっている、それどころか暴利だと思っているかもしれません。

 

 

ですが、私が最初に原価という言葉を聞いて考えるのは、家賃、次に改装費と維持費、それから、人件費です。食材の値段というのは、それから見れば極めて小さなパーセンテージに過ぎない。

 

 

一体、入るだけで4000万もかかるテナントになり、1100円の煮卵を売って採算がとれるのかということが不思議でたまりません。

 

 

つまり原価というのは、食材の値段ではないのです。

 

もしスーパーで20円の卵をラーメン店でも10円(これは食材の仕入れ値です)で売れば、経済の原則として商売が成り立たないのは、当然のことですね。
 

これは、塾でも同じことです。
 

授業料を月に2万円払うからと言って、それがそのまま経営者の懐に入るわけではありません。

 

家賃、広告費、維持するためのエアコン、電話、講師の報酬、駐車場代・・・

 

 

こういうものが全部かかってくるのです。

 

 

ちなみに私が塾を作った時に、借りていた教室にエアコンを設置した時、200万円以上しました。さらに税金や税理士に払う報酬(月に4万円以上)をはらい、人件費を払い、なおかつ私の報酬の税金などなどを払ったものが、ようやく私の手取り収入となるのです。
 

どうも世の中には、頂いた授業料が、そっくりそのまま、経営者個人の懐に入るものだと思っている人が多いようです。

 

■2■

 

 

先般テレビで、「イクラの値段が上がっている」という報道がありました。例によって、寿司屋に行ってランチタイムのイクラを出している店に取材して、まあ当然のことですが、寿司屋の店主は、「ぎりぎりでやっています。これ以上イクラの値段が上がると大変です」と、模範解答のような受け答えをしていました。

 

これは本当のことでしょうか?

 

寿司屋を維持することに関しては、寿司屋全体の家賃、人件費、こういったものがほとんどを占めるわけで、その中にも、寿司屋を維持するための電気代、水道代といったものがかかります。

 

一般の方は、寿司屋のトイレットペーパーやおしぼり・空調費用はタダだとでも思っているのでしょうね。


 

ですから、イクラが10円かそこら上がったと言っても、寿司屋においては、イクラばかり出しているわけでもなく、仮にイクラの値段が10%上がったとしても、寿司屋の食材の仕入れ原価には全く変わりがないと思います

 

一番大きいのはやはり人件費です。

 

だから、ランチタイムには海鮮丼(あらかじめ切っておけばあとはアルバイトがのせるだけ)が多いのです。岡山駅前も家賃が上がっているのでワインのお店が増えているのです。



 

同じように、TPPで牛肉の値段が下がったからと言って、牛丼が安くなると思っている方は、もう少し経済の勉強をされた方がいいと思います。

 

こういった、原価に対して値段が高いということであれば、喫茶店のコーヒーの原価は、豆代金としては。1杯10円か20円程度ですが、それがなぜ300円や400円で売っているかといえば、喫茶店は、「コーヒー」というモノを売っているわけではないからです。

 

近くのスーパーでコーヒー豆を買ってお湯を沸かして作ればいい。しかし、たまにはちょっと喫茶店に行ってきれいな内装のファッショナブルなお店でファッション雑誌を読んだり、あるいは新聞を読んだり、ゆっくり珈琲を飲みたいわけでしょう。つまり、喫茶店はコーヒーを売っているわけではないのです。

 

コーヒーを飲むという空間とサービスを売っているわけです。

 

塾も同じ、教える時間を売っているのではありません。知識・情報・ノウハウの対価を頂いているのです。

 

ラーメン店で、「スーパーで卵は10円程度で売っているのに、煮玉子を100円で売るのは暴利だ」とネットのみでいう人に言いたい。

 

では「これからスーパーで卵を買って来い。それから、自分で煮ろ。ゆでた卵の皮をむいて、味をつけろ。その際、店の使用代などは、あなたが払え。それなら、煮玉子10円にしてやる」と言われたらどうでしょうか。

 

何度も繰り返しますが、ラーメン屋で煮玉子を注文することは、その煮玉子に対してお金を払っているわけではありません。

 

 

煮玉子を注文すれば、すぐにその煮玉子を持ってきてくれる、そのサービスに対して、100円なりのお金を払っているわけなのです。

 

 

これは、原価という言葉にはふさわしくないのでしょうが、ある日本で最も高名な病院の人間ドックに付随している個室は、一泊数万円以上(あくまでも例です)するそうです。


 

この…万円が、ホテルとして高いかどうかはもちろん個人の感性でしょう。

 

しかし、体が心配だから、人間ドックに入るわけです。それが1日で終わらないから宿泊するのに、数万円かかる。これは高いのか、安いのか。もちろん、ただ寝るだけであれば、高いと思います。

 

しかしながら、日本を代表する名門大学付属病院の個室に泊まることが、どれだけ貴重なことでしょうか。

 

もし夜中に具合が悪くなった、胸が苦しくなった、めまいがする・・・・・激しい頭痛がする・・・・そういったときに、ベッドそばのブザーを押せば、おそらく日本で最高水準の医療を行う、最高レベルの医療スタッフが駆けつけてくれる。

 

ボタンを押せば心臓外科医、脳外科医・・・・・こういった方によって、すぐに適切な医療を受けられる。

これは世界でも日本だけなのではないでしょうか。

それが、数万円というのは、むしろ安いのではないでしょうか。


■3■
 

自営業をされたことのない方には、単に高ければ儲かる、安い店は良心的であると思っておられる方もいるでしょう。

 

しかしながら、自営業をしておれば、値段を上げれば儲かるという発想は全くありません。それなら、コーヒー1杯10万円で売る店を作れば、ぼろもうけできるでしょうが、そんなことをする人はいませんね。

 

当然のことです。


値段を上げればお客は減る。逆に下げればお客は増える。

これは経済の難しい議論でも何でもありません。

 

誰だって、ちょっと高級な蕎麦屋に行けば1000円ぐらいするところを、懐具合を見て300円ぐらいの立ち食いそばですませる。当たり前じゃないですか。

 

ですから、値段が安い店だからと言って良心的なわけではありません。むしろ、安くしている方がもうかると判断しているだけのことです。


 

UBQでも、ぼったくりとか、授業料が高いとか、ずいぶん非難されましたけれども、この授業料で平成3年から続けてくるということは、経営上、精神的にも非常に苦しいことでした。

 

一方で、今ではネット上で、ここのラーメン屋(学習塾)は儲けすぎだとか、高いとか、そういう勝手に決めつけたようなことを平気で書いている人がいますが、こういうことがどうして名誉棄損にならないのか、不思議で仕方ありません。

 

なぜネットである特定のラーメン屋を高いとか。まずいとか書きこんだらいけないのでしょうか。ちゃんと説明します!


 

言論の自由だという方もおられるでしょう。
それでは、次のようなたとえを考えてみましょう。


寿司屋で、「お客さん、今日はいいネタが入っていますよ、今日のマグロは最高ですよ」と言って出されたら、おいしく感じますよね。

 

一方、「今日は最低のネタしかないよ、こんな時に来る客は馬鹿だな、ま、まずいだろうが食ってくれ」と言って出されたら、同じ寿司でもそれだけでまずく感じるでしょう。

 

それと、同じで、ネットで高い、とか接客態度が悪いと書かれたら、事実とは無関係にそう感じるのです。



 

客商売は商品を売っているのではなく、サービスを売っているのです。

 

これは認知行動療法でも、こういう法則があります。

 

詳細は割愛しますが、冷たい水に手を入れる時にどのくらい我慢ができるかという実験があり、その際、やはり、本人がどのように考えているかということで、我慢できる度合いが違うということは、心理学的・科学的に立証されているわけです。


 

つまり、これはまずいという先入観をもって食べれば、本当にまずく感じるわけです。これは高いラーメンだと言われて食べれば、これは本当に高いラーメンだと思ってしまうのです。


 

ですから、先ほどの認知心理学の話を応用すれば、いろいろなネットで、このラーメン屋は高いとかぼったくりと書かれれば、実際そうではなくても、そのラーメンを食べた人が、本当に高いと感じてしまうのです。「高い」と言っても、実際にラーメン1杯が5000円や10000円もするわけではなく、実際は数百円くらいの差なのですが、本当に高いと思い込んでしまうのです。

 

 

同じように、ここの寿司屋はまずいという風にみんなが書き込んでいるところを見て、その寿司屋に行った人は、味は変わらなくても本当にまずいと思い込んでしまう。


 

これが、認知心理学上の事実なのです。実際、これでつぶれた店もあるわけです。

 

お店なら自由に書き込んでも良いのでしょうか?

 

個人実名をあげて、…銀行やデパートに行ったら受付の・・・・さんの態度が悪かったとネットで公言すれば大問題になるでしょう。

 

 

でも、ネットの食べ・・・とかFBでは実際に、具体的なラーメン店の名前をあげて堂々と「高い!とかサイテー」と書いているのです。

 

逆の立場になってください。

 

「・・・さんは、性格が悪い」と聞いていれば、「。。。。さんは性格が悪い!」と、初対面で実際にあった人が思いこんでしまうのです。

 

本当に、ネットで好き勝手に自分のプライドを満たすがために、高いとかまずいとか書く人に:自分が同じ立場になったら、自分の家族が経営している料理店がネットで高い、とか「おかみさんの態度が悪い」とかれていたら・・・と思いをはせてください。

接客でも同じですね。この店の接客はひどいという話をネットで読んでいけば、悪くなくても、やっぱり悪かったな、と思ってしまう。


 

これが、人間性の本質なのです。


下の人物は前を向いていますと予め聞いた上で見れば前を聞いてるように見えます。

 

一方で横を向いてるとあらかじめ聞いておれば横を向いてるように見えます。

 

 

 



 

 



 

■4■で、この話の纏め。

 

学習塾ほど「原価」の見えないものはない。

 

生徒の質問に答えるために、一日中図書館に行って調べ物をするとか、灘中学の戦前の社会の問題を手に入れるために、人を紹介してもらい、関西に行くとか。生徒が受験するから、東京まで高校の説明会に行くとか。大手中学受験塾のある中学校の、模範解答が、間違っていると気づき、10時間以上かかって、分析したうえで、東京の数理専門塾の代表に意見を求めるとか。東大が査読する論文を調べるとか。どのくらい費用が掛かるのか保護者は分かりませんものね。

令和元年10月17日追加、

 

ラーメンって悲しい食べ物ですね。ラーメンには1000円の壁というものがあります。ファミレスで単に冷蔵庫から出してすぐだけの烏龍茶が300円します。せいろそばを2枚たぐったら1500円しました。冷凍のピザパイを焼いて出すだけで1000円以上します。おしゃれなイタリア料理店でパスタを食べれば1000円以上します。

だけどラーメンだけが1000円を超すとものすごくぼったくりと言われるのですね。