ダイビングにおいては、初心者はおそらく何本潜ったらアドバンストコースとか、何本潜ったらライセンスンのランクが上がるという説明がなされるかと思います。
しかしこれは、ある意味、危険なことであります。
もちろん経験を積むということではまことにいいことです。
しかし、ランクというものは一つの目安であり、本人の実力を証明するライセンスではないということを、まずは御理解いただきたい。
ライセンスをアップグレードするということ自体は、自分のダイビングの目標として推奨されるべきことだと思います。
ただ、ここではっきり申し上げたいことは、実力に見合わないライセンスのアップグレードは、かえって危険であるということです。
なお、ダイバーマスター以上は国際的に登録されていますから、ライセンスのランキングを隠すことは不可能です。
私がバリ島で潜ったときのことです。
一日目、二日目は初心者ともぐりました。
ところが三日目は、私が一人だけのものですから、向こうも私のライセンスのランキングを知っているわけで、そうなれば、今まで初心者向けのコースに連れて行ったということのお詫びなのでしょうか、ボートをフルスピードで運転しています。
とても初心者には耐えられないスピードです。
そのあと、現地ガイドとマンツーマンで潜りました。
よく、激流ダイビングなどと言いますが、初心者レベルとは全く違うわけでして、とんでもない激流ダイビングなわけです。
よく激流ダイビングの「旗竿(はたざお)」と言います。
これはロープにつかまった時に、こいのぼりのように激流に流されている状態をいいます。しかしながら、ロープにつかまれるということは、激流ではありません。
私はその際いきなり(いきなりは100%正しい)、水深38メートルまで行ったことを確認し、この激流ダイビングにおいて、現地ガイドと離れることは危険だと考えたので、両手で現地ガイドとタンク及びハーネスを握りました。
その際、流れに対して最も抵抗のない姿勢をとりましたから、もっとも激流のダイビングにそなえたわけです。
ところが、片手でハーネスを握ると、ふり払われそうになる危険性を感じました。
私の握力を考えても、片手では無理だということを判断し、両手で握って、もっとも流れの抵抗を抑える姿勢をとりました。
そのこととおそらく両手の握力を考えても、私の完璧な姿勢に対しても、およそ100キログラムの圧力がかかっていたと考えられます。
さて、現地ガイドの様子がおかしい。
ひたすら、上がれ、上がれ、の指示を出しているわけです。
これも困ったことですね。
あくまでも一般論ですが、現地ガイドというのは、ダイビング理論に精通していないことが多いのです。
後で上がって聞いてみると、ナイトロジェン・ナルコーシス(窒素酔い)を起こしていたようです。
これは、日本でも話題になった、バリ島の日本人ダイバー行方不明事件のときに現地で指揮をされていた女性インストラクターのショップで教わりました。
あの方は、CDですから、最悪の事態はまぬかれると私は当時判断していました。
さて、ここからは、十分注意して読んでいただきたい。
1 ライセンスのアップグレードは一つの目標であり、力量を伴わないアップグレードはまったく意味のないものです。
オープンウォータのままずっと続けてダイビングをすれば、かえって初心者に事故が起きたら責任が問われるということで、初心者にはかえって安全だということで、注意していただきたい。
2 先ほどの現地ガイドは、ナイトロジェンナル・コーシス(窒素酔い)を起こしていたのに、私がなぜ平気だったかということを申し上げます。
ただしこれは、プロレベルでなければ対応できないことなので、十分注意してください。
答えは、水深40メートルということを判断した時に、呼吸を調節していたからです。
以上の記述がわからない方は、資格を持ったインストラクターに問合せてください。