2019年5月
作業仮説とは京都大学入試でよく取り上げられるテーマである。
この言葉は分かりにくい。原因はworking hypothesis の訳です。
「科学は仮説である」というのは。
・科学においてはこれが最終的で万古不変・絶対無謬のものはあり得ない。
・もしあれば、全ての科学者は、失業してしまう。大学に物理学研究室は不要になる。
という事である。
ところが仮説という漢語の響きより。仮契約・仮建設・仮設住宅のように非常に脆弱な・危ういものとしてとらえられがちである。
飛行機の揚力は羽根の上下で粗密が生じる(ベルヌーイの法則)という仮説に基づくと、いわれると、今にも墜落しそうな気がしてくる。
次に作業というのは、ほとんど誤訳に近い。
work というのはここでは「機能する」という意味である。
My mind works well today.(今日は頭がうまく機能する=さえている)という用例で、決して労働するのwork ではない。
作業というと倉庫で荷物を運んでいるようなイメージになってしまう。
ここでworking を調べると「一時的に機能する」という現在分詞から派生した形容詞とある。
しかし、現在分詞の意味を考えれば
a sleeping baby といえば「一時的に寝ている」にきまっている。
例を取ってみよう。(*極めて荒っぽい例であることはご理解ください)
小学生の実験である。水のなかに植物があります。光を当てて出てくる泡を採集しましょう。光合成で生じた気体は酸素かしら?(作業仮説)マッチを近づけるとどうなるかな?明るく燃えましたね。酸素でした。(検証)
ところがこの実験には酸素には助燃性があるとか、酸素は泡の形で出てくる、元素とは何かといった膨大な理論(仮説)の上に成り立っている。
科学自体が仮説だから、様々な研究を進めていくうえで、仮設の上に構築され「とりあえず今この研究で一時的に決めた仮説」ということ。
2020年9月追加
そこまで言って委員会 NP で竹田恒泰さんと気象予報士の蓬莱大介さんが議論をしていました。 地球温暖化についてです。
竹田恒泰さんは地球温暖化は証拠がないという主張されていてそこでこれは絶対という言葉を使ってしまいました。
すると蓬莱大介さんが科学は仮説である。したがって絶対という言葉を使う人は信用してはいけないと反論しました。
上手な詭弁ですね。科学哲学を学んでいない人はついうっかり騙されてしまいますね。
科学は仮説です。 しかしそれに基づく政策は仮説ではありません。
活断層があれば地震が起きるかどうかというのは仮説です。
科学的には誰も地震がどこで起きるかということは予想することが不可能です。
しかしだからそれで対策を立てないというのはまた別の問題です。
仮説だからと言うのであれば、 全く対策も議論もできないということになってしまいます。
科学は仮説だからこそ、 最悪の事態を想定して地震対策をするのはリスク管理の問題であって仮説ではありません。