過剰クレーム・過剰謝罪社会(1)で、
業務用の脱水機はなぜこんなに安いのかという、なぞなぞを出しました。その答えを述べます。
家庭用の扇風機を、一番暑い7~8月の約60日扇風機を出して、動かしたとします。
その場合、一日平均で、何回ボタンを押されるでしょうか?
1日数回ボタンを押したとすれば、その60日でおおむね200回程度でしょう。
サウナとかスポーツクラブに扇風機を置けばどうなるでしょうか?
その施設は、朝の10時が開館、夜の23時が閉館とします。
その間に、お客が入れ替わり立ち替わり扇風機のスイッチを入れることになると、どのくらいの頻度でスイッチが押されるか、考えてみてください。
10分、20分、あるいは5分とあけずに、お客さんがスイッチを入れたり切ったりしますから、わずか1日かそこらで、一般家庭ならば1年間で扇風機のスイッチを押す回数を超えてしまいます。
もし、家庭用の扇風機の寿命を20年とするならば、業務用の扇風機は、わずか20日で、少なくともスイッチが故障して動かなくなってしまうことになります。
使っている頻度がいちじるしく多いこと。
これが、第一の問題です。
二番目は、機械の耐用年数にかかわる問題です。
家庭用の様々な電化製品には、業務用としての使用は認めないとか、保証が受けられない旨のことが書かれています。
混雑しているときは、何人か並んで水着脱水機を利用することになるわけですから、それこそ、1時間で何十回という頻度で利用されることになります。
そうした使用に耐えられるように、もともとのモーターであるとか、大きさ、重量など、基本性能が、家庭用のものとはまったく違うのです。
そこで、家庭用の扇風機や洗濯機と耐用年数を比べてみましょう。
もし、家庭用の扇風機をサウナやスポーツクラブで使用すれば、1年間に何十台もが故障することになり、そのたびに扇風機を入れかえなければいけないことになります。
費用だけでなく、交換する際の新しい扇風機の手配や在庫のストック、そして故障した扇風機の処分に至るまで、さまざまな手間も人手もかかります。
そうすれば、水着脱水機一台に40~50万円程度かかったところで、それはむしろ安いことになります。
三番目は、保証の問題です。
お客さんが脱水機や扇風機に指を挟んでけがをした場合に、家庭用では、その保証が受けられません。
メーカーは、そのことをあらかじめ想定して設計・製作しているのであり、それだけのリスクを負っているわけです。ですから、一般の家電量販店で打っている洗濯機が2万円で売られているところを、業務用が40万円したとしても、これは安いということです。
それではなぜ、業務用の機械はこれほど安いのかという質問に、次に答えます。
前回の記事で、2万8000円の貯水槽を紹介しました。
業務用として使用される水着脱水機、あるいはコピー機といった機械類は、特殊な部品を使用しています。
壊れたからということで、近くの家電量販店で代わりの部品を買ってきて、自分で取り替えて・・・というわけにはいきません。
点検のために業者を呼んで、修理をしてもらわないといけない。
そんなわけですから、メンテナンスには費用と手間がとてもかかります。
一度水着脱水機を導入した施設は、メンテナンスという形で、点検や消耗品、さらには部品の交換などに関わる費用を払い続けなければなりません。
携帯電話や高速通信の初期費用が安いことと同じで、後々のメンテナンス費用が掛かる、その大切なお客様の確保ということで、業務用の機械自体は、このように安いわけです。
これらのことが理解できない方は、大変失礼ながら、就活力のない方だと思います。