2015年
現代は、「職人受難」の時代なのではないでしょうか。
大手チェーンのそばを展開している店においては、蕎麦は機械で作っています(打ってはいません)。
アルバイトの学生でも、操作さえ教われば誰でもできます。
何も高いお金を払って職人さんを招く必要などありませんし、「蕎麦打ち」のために莫大な時間と人件費を研修に使う必要もありませんね。
一部のいわゆる回転寿司の店では、高校生がロボットでつくられたシャリに、切り身をマニュアルに従ってのせているだけです。
ある回転寿司のトロ箱には、「マグロ」とか「はまち」などと書かれていますが、マグロとかはまちとか、魚のわからない人(たまたま回転寿司で働いているだけのアルバイト)に寿司を握らせているのですね。
そのような回転寿司の店が、高級な寿司料理店に対して、どんどん数を増やしています。
ところが、回転寿司がどんどん増えて老舗の寿司料理店を駆逐するということは、実は、回転寿司自身が自らの首を絞めていることにつながるのです。
なぜならば、誰でもできる仕事というのは、誰でも参入できるわけですから。
こうなると、味や職人技という話は成り立たなくなりますから、他店との差別化としては、
1.値段を安くする、
2.クーポン券を配る、
3.立地条件をよくする、
これらで決まるわけです。
ですから、いわゆる牛丼チェーン店が値下げの負のスパイラルに入って、お互いに消耗戦を行っているというのは、まぎれもない事実であります。
日本のものづくりにおいても、長年にわたって技を鍛え上げた優秀なものづくり職人が丹精込めて作らなくても、デジタル技術の進歩により、単に部品を集めて組立てただけで、どの電機メーカーも同じような製品が作れるようになってしまったわけです。
このことを予想して、独自のものづくりの方向性を模索すべきだったのですが、かつての成功体験から失敗してしまったビジネスモデルの一つが、ソニーに外なりません。
学習塾でも、インターネットで授業を配信する、DVDで授業を配信する…
これなら、少なくとも授業の現場には、教える講師はいらないわけです。
だから、百貨店までが予備校を経営できる。
それまで婦人服売場で婦人服を売っていた店員が、いつの間にか大学受験のアドバイザーになっていて、本人もびっくりしているそうです(岡山ビジョンによる)。
誰でもできるビジネスとか、職人に頼らない、講師の質に頼らないビジネスというのは、危険極まりないものであり、お互いに、塾同士が首を絞めあっているのです。
大手塾の業績が伸びているという報道は、要注意です。
なぜならば、大手塾が寡占化している原因は、大手塾がいままで出さなかったような地域に、小さな教室をたくさん作って、その実績や人数を加えているからです。
つまり大手塾が、経営が苦しくて個人塾化した領域まで商圏を広げざるを得なかったというのが、大手塾が業界を寡占化している裏返しでありましょう。
したがってこのビジネスモデルには、根本的な欠陥があるわけです。
同じ岡山市内で、同じDVDを見れば同じ授業が受けられるというビジネスモデルが成立するでしょうか。
そうなればそれこそ、消耗戦になります。
私の予想ですが、
1.誰でも経営できる映像配信(インターネットを活用した授業)のモデル
2.激安の授業料を標榜する個別指導塾
この2つは、おそらく、この先ものすごい勢いで淘汰され、今後10年後に生き延びるところはほとんどないのではないかと思われます。
本来優秀な講師は塾業界の宝であり、講師を育てることが塾の役割であった。
そのためには、塾講師の労働環境(労災・保険・退職金等)を整えるとか、ベテラン講師には、それなりの講師料を払う。それらには多額の費用が掛かる。
それを理解できない保護者に迎合した時点で塾は終った。