2018年9月


多くの大学が様々な改革をしています。

しかし、ほとんどの改革は失敗するでしょう。


なぜなら、おおむね、どの大学も、同じような文系学部を新設しているからです。


グローバル・コミュニケーション・・・という学部と、グローバル・・・スタディー学部という学部の違いが説明できるでしょうか?



これらはもちろん、学内の事情によるものであります。

それまで医学部のなかった大学に医学部を新設しようとすれば、他大学の出身者から医学部の教員を呼ばなければならないわけで、今いる教授らの既得権益が奪われる可能性があるからです。



尚、岡山大学に歯学部が出来たいきさつは、旧八帝大のうち京城帝国大学・および京城帝国歯専から、敗戦後の先生方を呼んだからとの事だそうです。


ですから、同じような区別のできない学部・学科が多く存在するのです。

そうなると、学内での併願率が高まり、辞退率も増えることになりますから共食い状態になり、「優秀な生徒の確保」からは、程遠い状態になります。



志願者数が増えたと広報している大学は延べ志願者数ではなく、実数字を公表すべき。

もう一言申し上げると、規制緩和によって学士の基準が緩和されたことが、わけのわからない学部が多く新設されたことの理由のひとつでもあります。


こういう学部はいわゆる「ガラパゴス学士」となり、海外の大学では、こういった学部の学士号が、正確に理解してもらえない恐れがあります。

将来、留学や海外で仕事をしようという人には、お勧めできません。


一例: 

現代心理学部卒です。

といって留学したら「心理学に現代とか近代とかあるのは初めて聞いた。一体。いつからが現代の心理学なのですか?」と聞かれて答えられますか?

違うなと感じるのは、早稲田大学と慶應義塾大学の改革であります。




まず早稲田大学については、一見、いろいろ新しい学部を新設しているように見えます。


しかし実際には、既存の学部を改組する形で新学部を設立することで、大学全体の定員を増やさないようにしているわけです。




一方、慶應義塾大学の改革もまた、方向性が逆ですがうまい。


それは、既存の学部とバッティングしない学部を作っているところです。




なかでも、共立薬科大学との合併による薬学部の「新設」ついては、もともと理系として医学部と理工学部と看護医療学部と文学部の心理学があるところに、薬学部を新たに設置したわけですから、シナジー効果は極めて大きい。


薬学部というのは非常に定員が少ないですから、文系のわけのわからない名前の学部を新設することとは、まったく違います。



フッサールを研究しようか?それとも薬学部でゲノム創薬研究をしようか?と悩んでいる受験生は聞いたことがありません。

薬学部と文学部を併願することは、通常は考えられませんね。となれば、合格者の辞退率が低くなるのは当たり前です。




一方、看護医療学部については、1917年に初代医学部長の北里柴三郎によって設立された看護婦養成所という看護婦(当時の呼称)の養成学校から、医学部附属の厚生女子学院、そして短期大学へと再三改組した経緯をへて、現在の看護医療学部に改組したのです。


ほとんどの方が誤解されているようですが、これは厳密には、「新設」ではありません。




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