あるところで、もうすでに500本ほども潜っているレジャー・ダイバーに、
「最近はダイブコンピューターの普及のせいでしょうけど、
一日に2本潜るとして、一本目のほうが浅いダイビングをするなどという考えられないことをするダイバーがいるんですね」
と申し上げたら、
「どうしていけないのですか?」
と聞かれたので、腰を抜かすほどびっくりしました。
そのことを、あるダイビングショップのインストラクターと話をしたことがあります。
そうすると、
「リゾート地でレジャーとしてしかダイビングをしたことのないダイバーは、そう思っている方もいらっしゃるかもしれませんね」
という返事でありました。
こちらはもうロートル・インストラクター、向こうは若いインストラクターでありますが、その点のダイビング理論については一致しました。
しかしながら、その若いインストラクターは、次のように言っていました。
「昔は、一人のインストラクターに補助のインストラクターを付けて一人が10人ぐらいを海に連れて行っていた。こんなことをしていたのか、考えられませんね。今はほとんど、マンツーマン指導ですよ」
と言われていました。
私は、補助のインストラクターの経験が非常に多いのです。
というのは、当時はインストラクターライセンスというのはあまりこだわる人がありませんでしたので、私はライセンスを発行する権限を持っていませんでした。
そこで私は、先ほどのマンツーマンで指導しないということが信じられないという若いインストラクターの発言を聞いて、これは英会話学校や学習塾の個別指導、あるいは学校教育についても共通することではないかと思ったわけです。
というのは、一人のインストラクターが、一度に10人を連れ、実習で海に潜ります。
もちろん、補助のインストラクターがそこで何人もサポートをしているのですが、その当時は、10人が一斉に潜れば、当然、お客様は不安でありますから、メインのインストラクターのほうに常に目を合わせ、指示を注意深く見ています。勝手な方向に泳いで行ったり、指示に従わず好き勝手なことをしたりすれば、自分自身が命の危険にさらされるということを知っていますから、10人で潜れば、10人の中で集団行動を考えて動いていたわけです。
ところが、マンツーマンで訓練を受ければ、自分がどのような方向に行こうが、何をしようが、その都度、インストラクターが止めてくれるわけです。
このことは、学習塾、予備校、学校などで常々感じることでありますが、少子高齢化ということで、一人っ子が多い(それがすべて悪いと言っているわけではありません)ということもあるかもしれませんが、全体の行動を考えて集団が行動できないダイバーが増えてきたように思われます。
勝手な方向に泳ぐとか、インストラクターの指示を無視して海に飛び込んだり、浮上したりする。
これらは、こういうことから起きているのだと思われます。