長山君が私の主催する日吉ゼミを辞し大手予備校のそれなりのポストを固辞し、あえて郷里、岡山の地でささやかな私塾を開校してから10年以上がたちました。首都圏でもトップ講師として知られた長山君が個人で塾を作るのであるから相当な塾になることは予想できました。開校のときに私が紹介文を書いたのが平成3年のことでした。
その後、2年連続理科Ⅲ類現役合格をはじめとする実績は首都圏や


関西圏の大手予備校を除けば地方都市の個人塾では寡聞にして聞いたことがありません。ましてや中一から高3まで教えてというのは日本の塾の歴史でも稀有な実績であろうかとおもわれます。中学生のトップクラスを理科Ⅲ類に4人も合格させられるのであれば中学生で平均程度の生徒を岡山大学医学科に16人合格させるのは、さだめし造作もないことであろう。


 しかし、これは偶然でも奇跡でもないのです。
 これを説明するためには、塾の裏話をする必要があります。一般に首都圏の総合塾で求人広告を出せば数百人単位で応募があります。ところが、その9割は小学生の国語と中学生の英語を希望します。未経験者に限っていえば高校生の難関理系数学で応募してくるのは皆無といってもよろしいかと思われます。

 このため、塾講師というのは非常に偏った人材不足の状態にあります。そのため、塾の求人広告をご覧になれば小学生・中学生の講師の時給と高校生の時給は後者のほうが随分高いのが実情であります。

 一般に、高校生の理系難関大学の数学を教える人物が中一の数学を教えるということは、経営上、通常はありえないことといって過言ではありません。ましてや長山君は日本中の予備校が欲しがる『大学への数学』(東京出版)に寄稿できうる実力者なのですから
首都圏に残っておれば今日は横浜。明日は大阪。と日本各地を高3数学だけ教えていたと思われます。


 ところが、皮肉なことに岡山では人口規模から高3だけの塾は成立し得ないという事実があります。
故に、結果として『高3の難関数学を東京大学理科Ⅲ類レベルまで教えられる講師が中学生の数学を教える』という非常に価値のある塾が岡山に成立したのであろうかと思われます。

講師の能力というものは目に見えるものではありませんですから、お分かりにくいでしょうが、歴然とした差があります。これがUBQの実績の必然にして秘訣と考えます・
       (大学受験・大学院受験 日吉ゼミ 代表(*) 松本一博)
* 文中の肩書き・数字は寄稿当時のものです。
* 日吉ゼミは本部を神奈川県の日吉におく知る人ぞ知る名門予備校です