小学生でも、平行四辺形という言葉は習います。
その時、なぜ「四辺形」なのか、「四角形」と言わないのかという質問を教師にする小学生は、ほとんどいないと思われます。
私はUBQを設立する前に、十年以上東京で、塾講師をしていて一度も小学生から「四角形と四辺形はどう違うのですか?」という質問を受けたことがありません。そういう質問をする生徒を育てるため、自分の塾・UBQを作ったのです。
それでは、四辺形と四角形は、どう違うのでありましょうか?
それは、四辺形というのは、「同じ面の上にある」という必要はないわけです。
たとえば、折り紙を折り曲げたように、空間で四辺形を折り曲げたものも考えられます。
これを「ゴーシュ四辺形 gauche-quadrilateral」といいます。
もしかして、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」を連想された方もおられるかもしれません。
これは、フランス語でもともと「ゆがんだ」とか「不器用な」という意味の言葉だと聞いております。
宮沢賢治の詩に「ゴーシュ」という言葉がいろいろ出てきているのは、これさて、元に戻って、なぜ平行四辺形というかと言えば、向かい合う二組の辺が平行であれば、すなわち、同じ面の上にあることは保証されますから、平行四角形とは言わず、平行四辺形というわけです。
(もちろん、妙法蓮華経の常不軽菩薩の影響を受けているのだと思われます。これは教養として知っているわけだけのことです。私は法華経系の宗教の信者ではありません)
数学においては、例えば、相似の条件においても、三辺の比が等しいと言わずに、二辺の比が等しいと言います。
このように、最低限の表現をすることが基本なわけです。
ですから、円に内接する四辺形という言葉も、これからお分かりいただけると思います。
そういった細かい定義に塾講師として、こだわるつもりはありません。
入試の指導に必要だから述べているのです。
例えば、京都大学(1993)において、下の問題文が出ております。
「空間において。平面αに含まれる凸四辺形 ABCDと・・・」
これを見れば、京都大学の出題者が、四辺形と四角形の違いを区別されたうえ、四辺形は同じ面の上にあるとは限らないとの前提で、出題されたことがわかりますね。