パック旅行においては、食べ物、ホテル、レストラン…こういったものがすべて、日本人向けになっているのです。

日本人が喜ぶような料理を提供しているわけです。




ドイツには子ウサギの料理というのがあります。私も直接食べたことはないのですが、食べたことのある友人によれば、子ウサギがほぼ原形のまま焼かれて出てきたとのことです。しかし、そんな料理がパックツアーで提供されるわけがありません。



もし、ドイツに行かれたらバウムクーヘンが喫茶店やケーキで売っているか確認してみてください。


アルバニアのホテルに行っても、英語が通じ、ガイドも英語をしゃべりますが、それをもって日本人客は、「あ、アルバニアでも英語が通じるのだな」と思うわけですけれども、それはしかし、日本人向けに、英語の通じるホテルを選んでいるわけです。


アゼルバイジャン語から日本語に訳せる添乗員というのは、日本にはほとんどいないわけですから、アルバニア語とか、アゼルバイジャン語しか通じないガイドを雇うなどということはありません。





実は、物価についてもそうです。


一部のパック旅行では、食事中にビールなどを頼むと、現地の値段とはまったく違うものになっています。帰りにそのレストランでメニューをみると値段が違うのです。日本人用値段になっているのです。

しかし、そのことを知らない客は、「この国って結構物価が高いね」などと言っています。




「海外で現地の人の写真を撮る時は、一言ことわって撮りましょう。」と言われるが


こういう困ったお客を見たことがあります。

何と、アゼルバイジャンで水タバコを吸っている老人に対して、

「Photo,OK」と尋ねた女性がいました。もちろん無視されました。

この方は随分いろいろな国に行かれているようですが、やはり、パック旅行でしか行かれていないようです。



よくよく考えてみてください。

アゼルバイジャンの一般の老人に英語が通じるわけがないですよね。


日本国内においても、まったく知らない人から写真を撮らせてくれと言われてOKを言う人はいませんよね。それどころか、大変なトラブルにもなりかねないでしょう。


ただ、パック旅行であれば、日本語と現地語が話せて、しかもその国の政府によって認可されているガイドが同行している招待客というわけですから、もし何かあれば、警察に通報するなどの、いろいろな措置を取ってくれるでしょう。


この方の本当に困ったことは、国境や空港と言った場所でも写真を撮ることです。注意されれば消去すればいいと思っているのでしょうが、もし一人旅で写真を撮って、英語も日本語も通じない場所で、警察や軍人にちょっと来いと言われて別室に連れていかれれば、おそらく、震え上がるような体験をすることになることを知らないことです。




レストランでもそうです。


(和風ごまドレッシングがでている)

UBQ数理フォーラム代表:長山豊のブログ


典型的日本的サービスです。ある旅行会社では、海外のパック旅行に行った際、日本のしょうゆやふりかけなどの調味料をサービスしてくれるそうです。もちろん、日本人のお客さんのために添乗員が持ってきてくれているわけです。



日本に限らず、どこの国でもそうでしょうが、レストランの提供する料理に持込の調味料をかけたりしようものなら、店から叩き出されても仕方ないわけですが、でもこれは、安全なのです。なぜならば、日本人専用レストランの特別室で食事をしているからです。




さてそうすると、こういうたくさんのお金を使ってくれる日本人旅行客というのは、当然、大変なお客様ですから、ホテルやレストラン、お土産屋に行けば、スタッフが日本語で、「いらっしゃいませ」「日本の皆さんこんにちは」などと言って、大いに歓迎してくれます。



写真を一緒にとりましょうというと、現地のスタッフは、皆さん喜んでとらせてくれます。



ですから、こういう経験だけをすると、外国の人は皆いい人だ、反日の人はいないんだという、おそろしい勘違いをすることもあるでしょう。


ためしに、意地悪をしてみます。

個人で旅行に行って、日本から持ってきたガイドブックをホテルのバーにもっていき、ビール1杯1000円とか500円、あるいは300円で粘ります。

以前にも書きましたが、一流ホテルのバーで飲むというのが、一番安全だからです。

そこで、日本から持ってきたガイドブックを見せて、「この中で載っているレストランを知っているか?」と聞いてみると、たいていの現地の方は、「そんなレストランは見たこともない、まして行ったこともない」という反応が返ってくることがほとんどです。



それはあえて、少し問題発言になりますけれども、日本の旅行客は、ガイドブックに書いてあるレストランに殺到する傾向がありますから、現地のレストランからすれば、アジアの特定の国(日本)からの客が毎日大挙して来店すれば、かえって困るので、掲載を拒否するわけです。



ですから、あくまでもあれは日本人向けなのです。






本当に現地の方が評価するレストランというのは、例えば、ホテルのコンシェルジェに聞けば分かります。

(しかし、私の経験では、たいてい、そこでおいしかった試しはありません。

やはり、日本の料理が一番おいしいわけです。)



さて、パック旅行は、安全面においてきわめて守られているわけですが、このこと自体は素晴らしいことです(もっともそれを、常識だと誤解することが最大の問題点とも言えますが)。



わざわざ危険なところに連れて行くことはありませんし、もし危険なところに連れて行って事故でも起これば、旅行会社の責任になってしまいますから。