2012-10-08


牛丼が安いのは、人件費が掛からないからであって食材が安いからではない。誰でも出来る簡単な仕事だからだ。と言って誤解してはいけない。


一見、誰でもできる簡単な仕事ほど、能力の差が出るものはない。


浅草の老舗のどぜう料理店に友人と行って玄関で靴を脱いで上がったら、靴をしまってくれた。帰りに、三和土のところで靴を出してくれたのだが、一人一人に自分の靴を並べて出してくれた。入った時に、どの靴がどのお客様の靴か確認して、帰りに、お客様に合わせて並べたのである。


ある牛丼店で食後に薬を取り出したら、すぐに水を(*)持ってきた店員がいた。


お茶のお代わりをカウンターの端で混雑時に頼んだら、新しいお茶をもってきて古いお茶を下げた店員がいた。


湯のみを取りに行く→持って帰る→お茶を汲む→お客様のところにもっていく。という手間よりもはるかに効率でかつ、牛丼店のビジネスモデルの本質を理解している。同じ状況でこの牛丼店で、このような対応は他にされたことがないから、この店員の、独自の判断であろう。


学生アルバイトのようだが、私が人事担当者なら最優先で採用する。


コンビニのレジで「カードをお持ちですか?」とか「ポイントカードをお持ちですか?」ときくアルバイトよりは「○○ポイントカードをお持ちですか?」と聞く人は必ず就職がある。


スーパーのレジにヘルパーで入った人で「そちらのお客様がお先ですね。どうぞ、こちらのレジにお越しください」と言った感動的な店員がいた。


レジが混雑し始めた時からレジ応援の命令が出ることを予期して、誰が先に並んでいるのか少し前から見ていたのだ。単に「お先にお待ちの方から・・・」という店員はいくらでもいるが、実際に確認してからレジに入る店員は一万人に一人もいないであろう。英検一級を持っている人の数よりは少ないであろう・


この方は、どんな仕事をさせても頭角を現すであろう。


うどん店に入ると、ある店員はすまなそうに「すいまぁせぇん・・・けどぉ・・カウンターしか空いていないんですけどぉ・・」という。こっちが悪いことをしているようだ。


別の店員はにっこり笑って「お客様!カウンター席が空いております!どうぞ、コチラへ!」という。席があいていて良かった!ラッキー!なにか得をしたような気になる。


さて、この前、至高・最高どんな言葉も惜しくない接客を見させていただいた。


このお店では、休憩時間がないのは県外からのお客様に配慮してのことであろうが、そうはいってもスタッフも休憩しなければならないわけで、

(*もう一つは後継者である息子には中華そばの作り方しか教えていないからだ。昔みたいに外食のお店が少なかった時とは違うから・・・・将来を見据えた経営戦略としては100%である)


時間帯によってはスタッフの関係で、中華そばだけにメニューを限るときがある。そのことはお店の前に、大きく書いてあるのだが、事情を知らないお客様がかつ丼を注文した。


勿論、物理的に作れないわけではない。


注文を受けたスタッフは「あいにく、今ちょうど、切らしているようですが、作れるかどうかすぐに確認します」といった。


演技なのかどうかはともかく、冷蔵庫を開けたり、厨房の確認をして「あっ、今日は何とかできます」といった。


それからが凄かった。すぐに店内にいるお客様全員に、「ご希望の方はかつ丼もおつくりできます。いかがなさいますでしょうか」といった。


それから新しく入ってきた客にも、かつ丼もお召し上がりいただけますと言った。特別だとか、今日に限ってとは一切言わなかった。だから特別にかつ丼を作ったことをお客様に全く気付かせていない。




因みにネットでは接客態度が悪いと書かれているお店である、私は40年通っている。もう20年通ったら常連と名乗ろうか・・・。


お店を出たら、

「只今の時間はメニューを限らさせて頂いております。といって具体的にメニューや時間が大きく書いてある看板」も外されていた。


ここまででも、教科書にのせても良いほどのポイントが何十もある。


どうも、就活と言えば資格がどうのこうの、とかTOEICがどうのこうのと思っている学生が多いようであるが。挨拶ができる。気配りができる。靴をそろえる。姿勢よく座る。ゴミを拾う。時間を守る。・・・・・こういった点を企業は見ている。これは色々な知人の人事担当者に聞いても事実である。


日本語で挨拶も出来ない人間が英語がどんなにできても採用されるはずがない。


これを参考に私が作った就職試験

食堂で、「今はかつ丼はできません」と、大きく外に張り出しているのに、お客様がかつ丼を注文した時の対応を述べよ。


(*)なぜある牛丼店ではお茶を出すのに、別の牛丼店では水を出すのか理解できる人は就職力がある。