これは、ドイツで聞いた話。当然、ドイツ人の話だからドイツ車の方をほめるにきまっている。
「ドイツの車は目に見えるところからコストダウンをする。日本の車は目に見えないところから、コストダウンする。」
カール・ベンツ氏
この意味は深い。車には一般の人が、まずわからない安全性の部分がある。たとえば車のシートが簡単に倒れたら危険。シートベルトは前方への慣性力にしか機能しないから、追突されたなら、そのまま、後ろに吹っ飛んでしまう。座席の両側にロック装置を付ければ、より安全だが、これを片方だけにしても気が付く人はいない。
車の剛性を落として、内部のビスの数を減らしても、内装をはがして数える人はいない。側面衝突に備えて、ドアの中に鋼鉄製のバーが入っているか確認する人はいない。(注。ドア全体の強度を確保して、入れないという設計もあるそうだ)
正面衝突したときにダッシュ・ボックスがはずれたら、飛んでくる。運動エネルギーはmv2乗だから、助手席の人にぶつかれば危険。飛び出さないように設計段階で破壊点を最適化して二重構造にして衝突時に内部崩壊するように特注すれば、ものすごく高いものになるが、気がつく人もいない。
ドイツ車の評論家で今度の新車は内装が貧弱だという人はドイツのものづくりが分かっていない。内装を目に見えて貧弱に本革張りにするのを辞めるが、安全に関する目に見えない部分はコストダウンをしない。
マンションでも設計図や強度計算まで分かる人は少ないから、躯体の強度より、ロビーを豪華にしたら売れるそうだ。
塾も同じ。
テキスト開発部門を廃止すれば、大幅な人件費の節約になる。しかし、オリジナル・テキスト使用といっても、どのくらいのペースで改定していますか?と聞く保護者に会ったことはない。20年前からそのままでも最新のオリジナル・テキストは嘘ではない。
・・・中学合格判定模試というのを10年前の模試をそのまま出しても気がつく保護者はいない。
