雑誌などで「最強のクレジットカード選び」などの特集を見ていると、やはり、これも「東京に住んでいる人のための最強のクレジットカード選び」というべきだ。
少なくとも、私は、伊勢丹(注:岡山にはない)での買い物に便利だとかJR東日本や東京の地下鉄を利用するのに便利なカードは岡山に住んでいると利便性を感じない。
同じように「塾選び特集」も「(東京に住んでいる受験生のための)塾選び特集」と考えて読むべきだ。
たとえば、東京に本部のある大手塾の全国高校受験模試をみれば、明らかに開成高校の出題形式に合わせている。朝日高校を志望するUBQの生徒には、その模試は推薦していないのはこれが理由だ。
塾の指導もおのずから異なる。東京の塾で中一の新入生の保護者面談をしてみれば、生徒も保護者も、はっきり志望高校を明言する。理由は中学受験で入れなかったというのが一番多い。
つい、数か月までは開成や桜蔭をめざして、猛勉強してきた生徒がリベンジに、もえて入ってくるのだから、意識が違う、「まだ、中一ですから、ゆっくりと基礎固めをします」などというとクレームがくる。
東京の塾では中一からガンガン進めていくことが多いのは、こういった背景がある。
岡山には、岡山のやり方がある。ということはご理解いただきたい。
大学受験でもそうだ。東京の数理難関塾のテキストをUBQでは導入する気は全くない。
開成高校や麻布高校などの生徒が通うことを前提にしているから、
1.過度にひねった問題が多い。
2.高校の範囲を超えて作られている問題が多い。
オーソドックスな問題は、ほとんどの受講生が解けるからどうしてもこうなる。
(注)以上の内容は難関塾に関しての一般論で、東京のすべての塾について述べたものではない。東京の中学受験生がすべて開成や桜蔭を受けるわけではないことはもちろんのことである。
■さてここからは長山の塾講師歴30年の分析。全ての中学受験生に当てはまることではない。あくまでも個人的意見として読んでいただきたい。
東京と岡山の中学受験には決定的な違いがある。
いくら、岡山の名門中学といっても東京のトップ名門中学には勝てない。
東京では卒業生に総理大臣経験者や国会議員・高名な学者・大企業経営者などを数多く輩出していて、父親も祖父もその中学の出身者であるという学校もめずらしくない。
麻布中学の志望動機に「おじいちゃんが江原素六先生(←麻布学園創立者)のことを尊敬していて、小さいころよく話を聞かされた」と言った生徒がいたくらいである。
こういう環境の中で育てば、なにがなんでも麻布中学に入りたいという強い志望をもつことになる。
フェリス(中学)に子供を入れたいという親で
「とにかくフェリスには入れれば大学はどこでもいいんです。下手な大学を出るぐらいなら、最終学歴がフェリス(高校)卒の方が良いんです」
という親もいた。
一般に、東京では是が非でも特定の私立中学に入れたいという層が存在する。
ところが、ご存じのように岡山は大変な公立高校王国である。
そして、一部にはいわゆる「荒れた公立中学」があると聞く。
実際には一時期に比べて、だいぶ改善されているのではあるが、そこは岡山県人の保守性の真骨頂。○○中学は良くないといったうわさを頻繁に耳にする。
これは、個人的見解であるが、
岡山では「特定の私立に入れたい」という動機よりも、「地元の公立に入れたくない」から中学受験をさせる場合が多いのではないか。
これを消極的中学受験とよんでいる。