岡山市の表町(岡山市一番の繁華街)に、有名な中華そばの店があります。この店のすごいところは、もう30年か40年も前から、行列ができていることです。

私が最初にこの店で食べたのは、たしか小学生の時だったと思いますから、40年ぐらいはこの店に行っていることになります。そしておそらく、これから5年、10年後も、この店に行っているでしょう。




 

ところが、学習塾というのは、根本的な経営上の問題点(欠陥)があるのです。




 

まず、大手塾といわれる塾がありますけれども、それは塾の業界の範囲でいわれているだけで、日本を代表するような、生徒が何万人もいるような塾でも、他の業種、例えば銀行、メーカー、あるいは商社などから比べれば、非常に中小・零細な企業に他なりませんん。




 

だから私は、大手学習塾という言葉を聞くと、非常に違和感を覚えるわけです。

 

UBQ数理フォーラム代表:長山豊のブログ

 

 

ではなぜ、学習塾が大手になれないのでしょうか?


 

それは、学習塾には根本的な欠陥があるからです。


 

先ほど、中華そばのお店の話をしましたけれども、これは20年、30年と、同じ人が繰り返し行くわけです。ところがもし、この中華そばのお店に、こういう張り紙をしたらどうでしょうか?

「当店は、18歳以上の方の入店はお断りいたします」

どんなにその店のファンでも、18歳になったらもう二度と、このお店では食事をとれないというわけです。

もちろん、その店はたちどころに倒産することでしょう。



 

つまり、学習塾の最大の欠陥というのは、「卒業」というものがあることです。



 

だから、どんなに生徒を集めても、ひとりでに卒業して、減っていきます。


 

これを私は、「穴の開いたバケツに水を汲むようなもの」であると言っております。


 

穴が開いていないバケツであれば、少しずつ水を入れていけば、いつかいっぱいになります。当たり前のことですね。

ところが、塾には、「卒業」といって、放っておけば生徒が減っていくわけで、つまり、バケツの水がこぼれている状態のところに、水を汲んでいるわけです。



 

たとえば、中1から中3まで、3万人の生徒がいる塾があったとしましょう。

ところがこの塾は、3年経てば生徒は0になります。当然、売上も0になります。

これが、学習塾の経営上の根本的な欠陥です。


 

中学受験専門の塾で、小学6年生が1万人(年商100億円)いると聞けば、たいていの人は、「大手塾だ、儲かっているな」と思うかもしれませんけれども、私はこの塾を、「来年、この1万人は、中学受験が終われば、ある日一斉にいなくなる=減る。そうすれば、経営は苦しいだろうな」とみるわけです。

 

*直前特訓とか小6が高額になるのもこれが原因です。どうせいなくなることを前提に費用設定しているからです。小中と教えていれば中学生になってからも来てくれる配慮をせざるを得ません。

 

これが外食産業であれば牛丼の売り上げが100億円なら多分、翌年もそのお客様は100億円、牛丼を食べるでしょう。ここが学習塾と全く違うところです。

そもそも、どんなに素晴らしい中学受験塾だからといって、高校になっても行こうとか、社会人になっても行こうとか、そういう人はいないわけであって、小学6年生で中学受験が終わったら、全員卒業して、その分生徒は減るわけです。


 

そうすると、この宿命は、どの塾もというよりも大手塾ほど抱えています。、生徒が卒業したからといって、教室を急に減らしたり、教師を急に解雇したりするわけにもいきませんから、必然的に同じ数の生徒を常に入れて、やっと「現状維持」なんです。

このことから、学習塾の生徒の確保というのは、非常に苛烈なものになるわけです。


 

それは、繰り返しますと、常に生徒がある程度入ってこなければ、塾は倒産するからです。したがって、入会シーズンともなれば、新聞にはチラシがあふれ、さまざまな広告が掲載され、過剰ともいえる生徒募集合戦が行われるわけです。

ダンピングをしたり、特待生とか、いろいろなサービスをしたり、あるいは授業料を無料にしたり、そういうことも起こるわけです。一部の塾ではしつこい電話勧誘をするのもこれが理由です。


 

このことを考えれば、どんなに規模が大きくても、学習塾は経営基盤が非常に危うい産業であるということが言えます。

ある塾では、高校生が3万人いて、難関大学合格者の4人に1人は当塾の生徒であると宣伝しています。


 

しかし、3年もたてば、この塾とて、売上も生徒も0。

もちろん、新しく生徒が入ってくることがないという前提ですけれども。

そうすると、現在大きな塾であったとしても、5年、10年とたてば、まったく、将来の見込みは立たないわけです。

ですから私は、今大手といわれている塾が10年後になくなっていても、まったく不思議ではない。



 

そういうことは、就職を希望する学生さんにはよくわかることですから、安定を志向される学生さんには、塾への就職はまったくといっていいほど希望されない。ですから、日本経済新聞の就職ランキングをみても、塾は全く載っていないわけです。

 

 


UBQ数理フォーラム代表:長山豊のブログ