冠詞 THE の発音については
母音の前・・・・・・・ジ
子音の前・・・・・・・ザ
と習うのが一般的であろう。
ところがTVの英語音声やDVDで英語の映画をみると
The Internetの前の冠詞THEは、たいていはザと発音している。
以前、このことについては教養あるイングランド人(ケンブリッジ大学卒)と意見を交わしたことがある。
母音の前と子音の前で発音を変えるのは、一般的なルールにすぎないので人によって違う。むしろ重要なのはTHEを強勢をおいてジと発音した場合には「特別な」というニュアンスがでてくる。
ザ・イチローといったら、普通のイチローさん。
ジ・イチローといったら、あの特別なイチロー。
という意味になる。だからメルセデス・ベンツに乗っている人の中には、ちょっと気取って、ジ・メルセデスという人もいる。
という回答であった。
昔、生徒に ザ・モナリザとジ・モナリザはどう違うのかと聞かれて、
ザ・モナリザ・・・・・一般的なモナリザの絵画。または有名なダ・ビンチの画いたモナリザの複製画です。
ジ・モナリザ・・・・・・ルーブル美術館にあるダ・ビンチのあの有名なモナリザです。
と答えたことがある。
これを思い出したのは先般NHKで映画のバットマンが放映されていたのを見たからだ。
知識として、知っていても身近な例で示すのは難しい。私の知り合いには「ベンツにのっていて、教養ある英語を、気取って話すネイティブ・スピーカー」はいない。
だが身近な例で示すことが出来なければプロの塾講師とはいえない。私の友人の説明では・・・・というのであれば塾講師は必要ない。何度でも生徒に再現可能な例をやっと見つけた。
映画の「バットマン リターンズ」で映画開始後約16分10秒して、いよいよヒーローの登場だ。助けられた女性がバットマンに向かって言う。
WoW! THE(ジ) BATMAN?
OR IS IT JUST BATMAN?
さすがにNHKでは「特別なバットマン?」と訳していたようだ。
DVDを借りてきてもう一度聞いてみると、確かにジ・バットマンと発音している。該当箇所を日本語の吹き替えで見てみると、これでは意味が通じない。
ここでのバットマンは一連の作品のなかでのヒーローだから、観客も主人公だという事は知っている。水戸黄門の印籠のように、待ち望んだ主人公がやっと登場だ。期待を込めてザがジに変わっているのであろう。
全作品見ていないので分からないが、前作までに悪者や偽物のバットマンが出てきたのかもしれない、
(私訳)わお!いよいよ正義の味方バットマン登場ね?
それともコウモリのコスプレをした、ただのおじさんなの?
*目の前にいる人をyouではなくitで指したら、あんた…誰なの?というニュアンスになる。
*まれにYou is・・・・・という場合もある。この場合は、目の前にいるアンタなんか知らないけど、あんたのような奴は・・・という意味で使われる。
