立場が変わると、これほど見方がかわるのかという例。
ある学校の先生が、
自宅で商売をされている方は良いですね。通勤時間が0ですものね。
と言われていた。
憤懣やる方の無い想いをしたのしたのにはわけがある。
長山が育ったのは、所謂、店舗併用住宅で、母親が商売をしていた。
朝の9時が開店時間だ。のれんを出していなくとも8時ごろ、客がノックする。
ちょと早いけど良いですかねぇ、
と声がする。
母親は飛び出して、いーえ。かまいませんよ。いらしゃいませ。
お客様はご存じない。その瞬間に、私は朝食抜きになることを。
小さかった時の思い出。
今日は奮発して、デパートに食事に行こうとのことで、飛び上がるほど嬉しかった。
のれんを落としかけたら、閉店間際にもお客さんが飛び込んで来られる。
お客様はご存じない。その瞬間に、私の夕食が、憧れのデパートご飯から、近所で買った菓子パンになることを。
小学生のとき、店に歓迎されるべきではない様子の怖そうなおじさんが、一見さんで来たことを覚えている。シャツの袖から刺青がのぞいている。
後で母親に聞いてみると、最初が肝心で、一人認めると、次々にやって来て、それで潰れるお店も多いとの由。
母親は、見るなり、奥にいなさい。良いと言うまで表に出るなといったけれども、声は聞こえる。
申し訳ありません。お引き受けいたしかねます。お引取り下さい。。。。。後は一方的な怒号。
次の日、お店のガラスが割られていた。母親は喜んだ。これで鬱憤も晴れたから、お前に危害を加えられることもないだろうから・・・と言った。