(2010.10の記事を再掲加筆)

 

(注)以下はセンターテストが理科1科目として800点満点の場合を想定したもので、大学・学部・学科によってセンターテストの利用方法は異なる。ブログを読まれている受験生は志望大学の配点・指定科目等は各自、確認されたい。またセンターテストを受験する全ての生徒に当てはまるものではない。

 

 

報道によると現在の中一が受験するころにはセンター試験を難易度別に2種類に分けるそうである。


UBQ数理フォーラム代表:長山豊のブログ

 

 

 

確かに難関大学受験者にとってはセンター試験が易しすぎる。

 

 

易しすぎるとどのような問題点があるのか?

 

理系難関大学志望者にとってセンター試験の最大の問題点は英数理ではほとんど差がつかないことだ。

 

ほとんどの生徒がほぼ満点であるからだ。以前、センターテストの得点と受験結果を分析したら次のようなことが判明した。例えば東京外国語大学を受験するほどの生徒であればまず、間違いなく英語は9割以上得点をしているので、合否の決め手は理科と数学である。

 

また、京都大学で数学や物理学を学ぼうとするほどの受験生であれば数学や理科はほぼ満点だ。差がつくのは国語になる。京都大学で数学を学びたくて、なおかつ抜群の数学力を持つ受験生が国語が苦手で進学出来ないという受験制度には、明らかに問題があると考える。

 

 

このようにセンター試験は不得意科目が2次受験のポイントになる

 

 

地歴・公民はある程度、対策次第で高得点も可能だ。ところが国語だけは長年、教えてきているが満点というのは聞いたことがない。とくに現代国語は満点というのは困難な分野である。

 

 

センター試験で700点取った生徒と750点とった生徒は50点の差ではないと、いつも言っている。前者はー100点で後者はー50点だと解釈すれば2倍の差である。このようにセンターは何点取ったかではなく。何点ミスをしたかで考えなさいと指導している。

 

 

さて、ある国立大学の医学科がセンター試験720点(-80点)がボーダーだとしよう。もし、地歴で80点(-20点)ならば、英数理がたとえ満点でも、国語が140点未満なら、もうボーダーに届かない。

 

 

現代国語では20点程度の失点は覚悟しておく必要がある。さらに現実には英数理ですべて満点をとることは困難で10点から20点の失点はあるものだ。古文漢文で大きく失点をすれば、その時点で医学科受験は厳しくなる。

 

また古文漢文は対策を十二分すれば満点も不可能ではない。

 

医学科志望者は古文・漢文対策を怠ってはいけないと高1の始めに生徒に申し上げるのはこれが理由である。

 



■そのあと、2011.11.8日に次の記事を書いた。

 

(元記事2011.11.08) 現中一保護者必見

 

 

以前のUBQの生徒で数学オリンピックの本選合格者が東京大学理科3類を受験する前に「数学が一番不安です。」と相談にきたことがある。理由は東京大学の入試の数学は易しすぎてミスをしたらどうしようかと不安だとの由。

 

もっともその生徒も中1の時には「センセー、正負の計算ムズカシイヨー。さっぱりワカラン」と授業中にわめいていたのを記憶している。

 

このように数学の問題が難しいとか易しいというのは人によって基準は千差万別である

 

さて、センターテストを難易度別に分けるというのは、現中一には大変な問題がある。

 

センターテストの出題者である数学者の考える難易度の高い・低いというのがどの程度のものなのか予測がつかないからである。ブログの性格上、数学に例をとって説明しているが、現代国語の小説の心情理解問題なら、何を持って難しくなると定義できるのか、なおさら判断に苦しむところである。

 

現在、中一の生徒をもつ保護者の方は良く考えていただきたい。

 

「君達が今度、受けるセンター試験から問題が難しくなります(あるいは易しくなります)から注意してください。」といわれても対策のしようがない。どのくらい難しくなるかが、試験当日問題をあけてみないと分からないというのでは無用の混乱と負担を受験生に強いることになる。

 

一零細塾経営者が申し上げても蟷螂の斧なのを承知でセンターテスト関係者にお願いがある。

 

実施の少なくとも1年前には明確な方針(*)と具体的な試験問題例を全科目にわたって公開していただきたい。



(*)入試当日選択するのか?事前に届けるのか?科目ごとに選択できるのか?等を含めて。

 

 

 

 

 

以下加筆、2017年7月現在、「センター試験を難易度別に分ける」という記事は100%、朝日新聞の誤報であることが既に証明された。せめて誤報のいきさつの説明と訂正記事と社としての謝罪をして頂きたい。