ある年のことだ。難関大学の医学科を目指したが残念な結果に終わり、浪人した生徒・保護者と面談した。医学科ともなれば浪人も珍しくない。二浪・三浪も当たり前の世界だ。
本人に今の心境をまずもって、静かに聞いてみた。大変なストレスを抱えているのは当然のことだ。
「現役で入った同級生はコンパや海外旅行にと大学生活を謳歌しているのに、自分は予備校で模試を受けたり、近所の目を気にしながら模試を受けに行ったら、後輩と模試会場で出会ったり・・・」
といかに自分がいかに不幸な境涯にいるのかを、かこち始めた・・・・・
私はしばらく黙って聞き、それから、じっと生徒の目を見て諄諄と口を開いた。
君は、浪人できるなんてなんて羨ましい環境なんだろうか。世の中には経済的理由で高校を中退したり、大学進学を断念する人はいくらでもいるのに・・・
夢に再チャレンジさせていただける上、一年間の生活費はもちろん、予備校の授業料や大学の受験料ももう一度、出していただけるなんてなんてご理解のあるご両親なんだろうか・・・
アジア・アフリカの最貧国には君の予備校の一年間の授業料の何分の一かのお金が無くて,病院にいけずに、死んでいく子供達や身売りをする少女もいると訊いています。
多分、世界の同じ年の人間の中で、世界でも上位数パーセントにはいるくらいの恵まれた環境だろうね・・本当に羨ましい限りだ。
誰だって浪人するのは嫌ですよね。
ですけれどね。
予備校の費用や一年間の生活費を保護者が出してくれるのだからこんなありがたいことはないじゃないですか?
この「君」はブログを読んでいる貴方のことである!